さんじゅう。※過去編 ページ32
これはまだ軍を抜ける、という方法を試す前の事だ
『相談したい事があるんだが、今時間いいか？』
そうグルッペンとトントンに問いかけると、2人とも書類と向き合いながらだが了承してくれた
「ええよ…書類しながらでもええんやったら」
「……」
グルッペンは２つのことを同時にできないので、書類と睨めっこしていて俺の話はあまり耳に入っていないようだ
『すまん…とても大事な話なんだ。グルッペンにも聞いてほしい』
「なんや、改まって。グルさん大事な話やって、一旦休憩にしよか」
「おお…？よく分からんがA、ナイスだ！」
休憩ができて嬉しそうなグルッペン
これから大事な話をするんだけどな…
「そんで、話って？」
『明日の公開演説…中止にしてほしい』
「え？」
「うむ…理由を聞かせてくれ」
覚悟を決めたが、その内容の突飛さと現実味のなさに思わず口籠る
「なんや、言うてみい？ワイらの仲やん」
数秒の間を置いて、俺は重い口を開く
『…信じられないかもしれないが、俺は未来をある程度知っているんだ。明日、グルッペンは死ぬ』
「は…？待って、情報が整理できひん…」
グルッペンは完全に固まっている。
…そりゃそうだよな。突然仲間に宣告されるんだ、混乱しないわけない
「あー…冗談にしては少々悪趣味だな。Aがそんな事を言うなんて、明日は槍でも降るのか」
『ッ…。冗談じゃない。これは事実だ。だから協力して欲しい』
「はぁ…縁起でもない事言わんといて？第一、それがほんまやったとして、どうしてそれをAが知っとるん？」
相談するタイミングが悪かったのだろうか。それともこんな話を信じられないのは当然だろうか
『…俺が、戻ってきたからだ。お前を助ける為に。数年前から、ファントムって奴が秘密裏にこの軍のことを助けているだろう？…あれは、未来を知ってから動いている俺なんだ』
その言葉に、グルッペンは目を輝かせる
「なにっ！？それは本当か！？」
「いやグルさん…こんな突拍子もない話信じるん？」
「まだ半々くらいだが…本当なら、こんなに面白い事はないゾ！」
「えぇー…」
未だに疑っている2人に、つい声を荒げてしまう
『ッ…本当なんだ…！頼むから、俺にもう失わせないでくれ…！これ以上、お前らのあんな顔を見るのは嫌なんだ…ッ！！』
鬼気迫った俺の様子に、流石に2人も納得してくれ、公開演説は中止となった
が、明日グルッペンは死んだ
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fact - 前作を久しぶりに拝見させてもらっていたら新作が出ていたので驚き、すぐさま読みました。前作と同じで次がとても気になって仕方なくなります…これからも応援してます。無理しない事を優先に更新まってます！素敵な作品をありがとうございます✨ (2022年6月7日 16時) (
レス) id: 5d3c36cea5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山田。 | 作成日時：2022年5月29日 14時
