『虹ヶ咲』恋愛小説

第29話 ページ32

「かすみ？」

かすみからの電話だ
出ないわけもないから。

「もしもし？どうしたんだ？」

携帯を取り電話に出る
すると、いつもの元気であざといかすみとは打って代わり、真剣な声音が聞こえてくる

かすみ〈先輩。かすみんはダメな子です〉

「どうしたんだよ。急に」

かすみ〈さっき、せつ菜先輩に連絡をしたんです。"先輩の事好きなんですか？"ってそしたらせつ菜先輩は"もちろんです！私がこんな気持ちになったのは初めてです！"って〉

歩夢の言う通りだった
せつ菜は本気で俺のことを想ってくれてる
それに歩夢も…

「そ、そっか。それでどうしてかすみがダメな子ってなるんだ？」

かすみ〈だって、かすみんだって先輩の事が好きなんです！だから、先輩を取られたくないからってせつ菜先輩の告白邪魔したんですよ！人が告白をするときって勇気が必要なんです！それを私が…〉

「まって、かすみ。俺の事がって聞こえたんだけど」

かすみ〈言いました。気づいてないなとは思ってましたがここまでとは想像してませんでした。それにしず子もりな子も歩夢先輩もみんな先輩の事が好きなんですよ？〉

かすみがさらなる爆弾を追加してくる
璃奈にしずくも？
本人から直接ではないがこんな状況でかすみが嘘をつく意味がないから、多分本当なのかもしれない…

かすみ〈昨日、歩夢先輩の家に行くと言ったのもライブの打ち合わせなんかじゃありません。私たちがただただ先輩と帰りたかったって話なんです〉



かすみからあの日どういう意図であそこにいたのか、なぜ家まで上がってご飯を作ってくれたのかというのを聞かされた

そこまで言われると、俺は本当にダメな人だと感じる。みんなの好意をただの親切心としか思っていなかった。

恋を今までした事がない俺には
本当に意図を組む事が出来ていなかったと反省しかない。

だから…

「かすみ。好意を俺に向けてありがとう。俺はまだ、答えが出せるような言葉が見つからない。だから、今は今まで通りでもいいか？」

そう言ってこの場を逃げる事しか出来なかった。
だけど、かすみは…

かすみ〈今はそれで十分です。でも、今かすみんの好意を伝えた以上どんどんアタックしますからね！〉

そう言い電話を切った


波乱な一日

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