「お前はいったい誰だ？」 ページ6
たまに、人からこう言われる。
「モトキが感情を顔に出すことって、あんまりないよね。」
と。
俺もそれは少し思う。
だって、鏡や写真に映る俺の顔は、
表情があまり出ていない。
笑っていたとしても、心の底から笑えているわけじゃないし、
「目が笑っていない｣と言われることもしばしばある。
そんな俺でも、不可解なことがこうも続けば、
表情に表れる。
あいつに心配された。
「なあ、なんか悩んでんの？」
『…ちょっとな。』
「聞くぞ。俺
『…じゃあ聞いてよ。』
自分でも思うけど、俺にしては珍しいほど、
素直に相談した。
不可解なことを包み隠さず話した。
話し終えた頃、
あいつの顔は
少し青ざめていて、
少し悲しそうだった。
…なんで？
なんで悲しそうな顔をするの？
なんで青ざめているの？
悲しそうな顔をしているのは、俺が相談したことを、自分の事のように感じてくれているのからかも知れない。
けど、なんで？
なんで青ざめているの？
俺、なにかまずい事言った？
少しだけ、重い空気が流れた気がした。
沈黙を破ったのは、あいつだった。
「もう、お別れか。」
…え？
…意味が分からない。
…なんで？
…なんでお別れなの？
『ど……どういうこと？』
ただならぬ得体の知れない恐怖を感じ、
俺の声は思わず震えていた。
俺は、また声を震わせながら、もう1つ聞いた。
『お前は、いったい誰なんだ？』
しっかり前を見つめたあいつが言い放ったのは
「俺の正体と、お前の悩み事、いっぺんに解決してやる。」
だった。
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作者名：となしば | 作成日時：2017年8月16日 1時
