69、2つの運命 ページ1
高橋「酷いよ皆…先輩のお見舞いに行くなら、声くらい掛けてよ。ねぇ??」
高橋はケタケタと笑いながら近づいて来ると、ベッドの上の私に向かって
「お見舞いですよ。
ほーら。
…綺麗でしょう!?」
乱暴に菊の花束を投げつけた。
懐かしい様な、寂しい様な匂いに支配され、
私はただ呆然と高橋の顔を見た。
高橋「あははッ
お似合いですよ、せーんぱい♪」
赤也「てめぇ…!!何しやがる!!!」
いきり立って前へ出る赤也を一瞥してから、高橋は鼻で笑った。
高橋「何って…お見舞い。
解んないかな??
お・見・舞・い☆」
幸村「お見舞いに菊の花を投げつけるのは、失礼じゃないかな。」
いちいち堪に障る言い方をする高橋に、精一が眈々と対応する。
ブン太「A、大丈夫か??」
ブンちゃんは私に付いた菊の花を取ってくれた。
高橋「みんな、先輩に汚染されちゃったのね…。
いつまでも私にチヤホヤしてれば良かったものを」
わざとらしい角度をつけて、高橋はせせら笑った。
誰一人口は開かないけれど、全員が高橋を睨み付けていた。
高橋「…何、その目。
みんな私を悪者扱いするのね。嗚呼、可哀想な私。
…まぁ良いわ。
今更あんた達が寝返ったところで、学校の皆は私の味方よ。
…月曜日を楽しみにしててね」
そう言ってニヤリと不敵な笑みを浮かべると、高橋は去っていった。
ぐちゃぐちゃの菊の花を残して。
途端に静まり返る病室。
高橋が何をしようと目論んでいるのかは、見当もつかない。
明日は大会。
そして、精一の手術の日。
こんな暗い雰囲気じゃ駄目だ!!
A『みんな!!明日の試合、負けないでね!!!!
私、応援しに行くから!!』
出来るだけ明るい声でそう言うと、皆の表情が和らいだ。
仁王「当たり前じゃき。よう見ときんしゃい」
ジャッカル「病院に居なくて大丈夫なのか??」
A『…うん!!』
外出許可はとってある。
…ただ不安なのは。
A『…………。』
幸村「…………。」
精一は、全部分かってる。と言いたげな笑顔を見せた。
それを見て小さく頷くと、一拍置いてから、全ての思いを込めて
A『王者立海!!ファイトーーー!!!!』
と叫んだ。
「「オオーーーーッ!!!!!」」
皆の声が響いた。
明日、2つの重大な運命が決まる。
私は白い菊の花を、両手で包み込んだ。
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革ベルト
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yn - めちゃくちゃ面白かったです( ´•̥ ̫ •̥` )最後のキスシーンは感動して泣きました! (2022年2月10日 2時) (レス) @page19 id: c85f91ed97 (このIDを非表示/違反報告)
栞 - 全部見た、6回位読んだ。何回も泣いて目が痛い。もっといろんな小説書いて欲しい。頑張ってください。 (2016年5月7日 19時) (レス) id: 7d989b00f5 (このIDを非表示/違反報告)
なぁみ@テニプリ(プロフ) - 全部拝見させていただきました。もう、小説でこんなに泣いたんは初めてです!素晴らしい作品ありがとうございます! (2015年6月28日 21時) (レス) id: 1b56b07512 (このIDを非表示/違反報告)
はにぃ(プロフ) - こんばんは!初めて拝見させていただきました!もう、3辺りから気づいたら泣いてました。小説とかでないたの初めてです。こんな素晴らしい作品をつくっていただき、ありがとうございました! (2014年4月11日 22時) (レス) id: 81c414bc0b (このIDを非表示/違反報告)
我の封印されし左腕が疼くww - コアラ! (2014年4月7日 17時) (レス) id: ce78beb37d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空豆 | 作成日時:2012年9月26日 17時