LDHのドSくん。 (ページ30)

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隆二さんページ30

隆二サイド

事後。
意識を飛ばして後、目がさめると隣にAはいなかった。
怠くて、それでも。
薄めの布団を引きずらないように、体を布団で巻いてリビングに行く。
案の定ソファで寝てた。なんで同じベッドで寝てくれないんだろう。
すぐ傍に膝をついて無防備な寝顔を眺める。
なんだか無性に口が寂しくなって。
口呼吸派なのか、薄く開いてる唇に自分の唇を重なる。
なにやってるんだろ。こういうこと、Aは嫌いなのに。
自分が知らないところで何かされるのは嫌いらしい。

『……隆二さん、』

唇を離して、離れようとしたところでAに呼ばれる。

「起こした？」
『……最初から起きてました。』
「え」
『そんな大胆だとは思いませんでした。』

後頭部を抑えられてまた唇を合わせる。
舌を絡めて、ここから、というところで急に離される。

『俺、そういうの嫌いです。』
「…ごめん、」

嫌われるのは嫌だから。すぐに謝る。
寝不足なのか溜息をついて腕で目元を覆うA。

「…なんか、ほんとに、」
『大丈夫です、最近忙しいんで、』

最近のAは本当に忙しそう。
音楽番組に雑誌撮影は勿論、最近は俳優もやり始めてるし、ファッション雑誌のモデルもやってる。1人で仕事する時が増えてきてる。

「…折角のオフだし、俺もう、帰るね。」
『……そんな、顔するなら無理しなくていいですよ』
「無理、してないから。」

お前が倒れたりした方が俺たちからしたら辛いんだよ。わかってるのかな。
隆二さん、と呼ばれて振り返ると両手を広げてるA。
首を傾げて近付くと、ん、と手招きされて、抱き締められる。

『抱き枕。』
「…ん、」

俺をぎゅうと抱き締めては首元に顔を埋めて目を閉じて眠りに就こうとする。

「A、」
『……なんですか。』
「……好きだよ、」

自分でやって泣きそうになって、Aの肩に顔を埋めた。
本当になに言ってんだろう。

『……おれも、っす』
「…ぇ、」

顔を上げればもうAは寝息を立てて寝てた。
俺も。って、どういう意味なんだろう。

「…酷いよ。」

あー、考えるのやめた。
二度寝するために目を閉じればあったかい体温に眠気がすぐに頭を支配した。