チョロい教師 ページ4
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『こーんーばーんーわー!』
「…え」
残業を抜け出して…教師寮の裏で一服していた時、不意に幼い声が投げられた。ギョッと背後を振り向けば、自分の腰にも満たない小さな小さな子供が此方を見上げている
「え……えーーと…ど、何処の子かな…?」
慌てて火を消し目線を合わせるように屈んで問いかければ、その子は万遍の笑みを浮かべた
『ぼくの、おなまえは、Aです!!よんさい!』
「…っすぅー」
元気よく挨拶をしたA君の姿に、思わず目頭を抑え俯く。うーん、まぶし……とにかく眩しい、何処の子なのか分からないけれどニッコニコと笑顔を浮かべて、だけどちゃんとお辞儀も出来てご挨拶も出来る……ただどうして此処に居るのか分からない
『とつげきほーもんです!』
「突撃訪問?…いや、だから何処の子かな?」
『えっと…あ、おつかれの、せんせぇたちに、さしいれ!って、サリバンさまと、ごはんもってきました!』
全くこちらの話を聞かずに話し続けるA君の口からめちゃくちゃ聞きなれた名前が出された。サリバン…サリバンさま…サリバン様??ということは、なに、この子は理事長であるサリバン様の隠し子?いやまさか…え、もし本当にそうならこれはやばいのでは?……等と様々な思考が脳内を駆け巡る。目の前の子悪魔の瞳は純粋無垢で嘘などとうていつけそうもない…嘘をつくのだとしても、その名前は出さないだろう
『さしいれのぴざです!』
「待って絆される」
よく見ればその子の横には何かがあって、A君は考えている俺の前に横にあった箱を差し出してきた。ピザ、と言ったその箱からは確かに美味しそうな匂いが漂っている
『ほだ…?』
「あ…ああ、いや、なんでもないよ。えーと…A君、だっけ…よく僕が先生だって分かったね?」
『…んと……かっこいーから……せんせぇかなって』
「なぁぁるほどぉ……」
恥ずかしそうに、間違っていたかと首を傾げた子悪魔に笑いかけ…そして両手で自身の顔を覆った。ダメだ…夜遅くまで残業していたせいか…今日学校で色々と生徒が騒ぎを起こした後処理に追われたせいか……はたまたその両方か、その疲れからか目の前の見知らぬ子悪魔に絆されそうになる。でも待って欲しい、聞いてほしい…疲労困憊の状況下に、小さな悪魔が一生懸命に差し入れを運んで来てくれたらどうだ…絆される、そう、これは不可抗力…よし、別に変態じゃない、不可抗力だこれは
「…一緒に食べる?」
キョトンとしたまま様子を伺っていたA君に言えば、この子は嬉しそうに頷いた
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風船ガム - くじらさん» 朝からの癒しになって良かったです!更新頑張ります! (9月6日 20時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
くじら(プロフ) - 朝っぱらから癒やされました。更新頑張ってください…! (9月6日 6時) (レス) @page12 id: 85541f6d4c (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - コウさん» ありがとうございます!これからも更新頑張ります (9月5日 9時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - 赤憑さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて良かったです…!ご希望に添えられていたら幸いです……是非これからもよろしくお願いします (9月5日 9時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
コウ(プロフ) - とても面白かったです!これからも頑張ってください! (9月5日 6時) (レス) @page9 id: e3e40485f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風船ガム | 作成日時:2023年4月29日 23時