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拐われた悪魔の子 ページ16

人知れず拐われた幼子はやがて目を覚ます。広く大きな部屋の中、ふかふかの寝台の上に居たAは辺りをキョロキョロと見渡した


『……どこー?』


全く覚えのない部屋に幼子は困惑した様子で声を零す。着ていた服はいつの間にか全て取り替えられており、ソファから降りようにも幼子の細い手首には強固な腕輪が取り付けられていた。腕輪から生えた鎖が柵に繋がれて動けない


『…むぅ…』


無理に取ろうにも子悪魔の力で出来るはずも無く、幼子はただ静かにその場に座り込んでいた。見知らぬ場所に居ながらも声を上げて泣かないのは、師匠であるオペラの言葉を思い出していたからである



"泣けは全て解決する訳ではありません”



何時か、幼子の師匠が主である悪魔に言っていた言葉……当時泣いていたAはその言葉をしっかりと聞き、覚えていた。然し今回は………それが仇となった


「起きたんだね、おはよう」


『……だぁれ』


暫くすると見知らぬ悪魔が一人、扉を開け部屋の中に入って来た。Aの問いかけに答える事はなく、その悪魔は不安そうに己を見上げる小さな子悪魔をじっくり眺め笑顔を浮かべた



「あぁ……やっと手に入れた、やっと手に入れたよ!キミをずっとずっと探していたんだ!職を探してる奴に大金を渡した甲斐があった……キミの家系の悪魔は本当に素晴らしいねぇ…容姿もさながら、その他者を惹き付ける魅力…本当に素晴らしいよ」


『………ここ…どこ…?…おじさん、だれ、ですか…』



「お兄さんはね、キミの家系の悪魔をずっと探していたんだ。主従関係が無くとも他者を従え召喚出来るキミ達を…便利な家系能力だね。どんな悪魔だろうと、自分と信頼関係さえ出来れば何時でも何処でも喚び出せる。でも其れを可能とするのが、その容姿とキミ達一族が醸し出す得体の知れない魅力だよ」



一歩、一歩と近付く悪魔に幼子は恐怖し、大きな瞳に涙を浮かべる。四年しか生きていない彼にとって初めての体験……心の底から湧き上がる恐怖。逃げようとすれども繋がれた鎖がそれを阻み、魔具によって魔力の放出も規制される


「どれだけ警戒していても、すぐに警戒を解かされてしまう。キミのお母さんもそうだった……本当に、ヒトの懐に入り込むのが上手くてね………それなのに…俺をその気にさせといて、他の男とお前を作り産み落とした」


狂気を孕ませた瞳が怯える幼子の姿を捉え、大きな掌がAの頭を掴みベッドへと押さえ付けた

狂気じみた悪魔→←甘い誘惑



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風船ガム - くじらさん» 朝からの癒しになって良かったです!更新頑張ります! (9月6日 20時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
くじら(プロフ) - 朝っぱらから癒やされました。更新頑張ってください…! (9月6日 6時) (レス) @page12 id: 85541f6d4c (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - コウさん» ありがとうございます!これからも更新頑張ります (9月5日 9時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - 赤憑さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて良かったです…!ご希望に添えられていたら幸いです……是非これからもよろしくお願いします (9月5日 9時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
コウ(プロフ) - とても面白かったです!これからも頑張ってください! (9月5日 6時) (レス) @page9 id: e3e40485f7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:風船ガム | 作成日時:2023年4月29日 23時

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