ヒーローはおししょうさま ページ11
sideエイト
いきなりA君を抱えて逃げ出したダリ先生をようやく捕まえた。イチョウに抱かれるA君は夜風で冷やされ赤くなった頬を両手で触っている
『サリバンさま!』
「「ゑ…」」
かと思えばA君は指を指してそう叫ぶ。指された方向に視線をむければハンカチで目元を拭う理事長がそこに立っていた
サリバン「A君が無事で本当に良かったよ!少し目を離した隙にいなくなって僕心配したんだからっ!」
『あのね、あのねー、だりせんせーがおいかけっこしたの。びゅんびゅんって、いっぱいすごかった!』
サリバン「それは良かったねぇ………はい、教師の皆はどういう事か説明してくれると嬉しいな」
A君の言葉に笑顔で相槌を打つ理事長は、けれど此方に質問を投げ掛ける。疲労から誘拐未遂をしかけたダリ先生がハッと正気を取り戻し事の成り行きを説明すれば理事長はフムと頷いた。特にお咎めはなかったけど少しの注意はうけたよ
ダリ「ですが夜中にこんな小さい子供を連れてここまで来るのもどうかと思いますよ」
サリバン「だってー、A君がおでかけしたいって言うから…それにあの子からの差し入れは元気出たでしょ?」
ダリ「元気は出ましたけど……危うく道を踏み外す所でした」
ダリ先生と理事長が話している横で、A君は地面に降りて土に絵を描いていた。その隣に屈み「何を描いてるの?」と問いかけるとA君は念子さんと元気よく返事をする
『ねこさんはー、もふもふなんだよ、もふもふはね、せーぎ!』
「そっか、A君にとってモフモフは正義なんだね」
ツムル「じゃあ念子はヒーロー?」
『んーん、ひーろーはちがうよ。おししょーさま!』
イチョウ「おししょーさま?」
おししょーさま…師匠だろうか?理事長であるサリバン様の事を言っているのかなと思ったが、何となく違う気がした。その後も暫く絵を描いていたA君だけど、やっぱり幼い子悪魔だから数分もしないうちにウトウトと船をこぎ始める
「おねむかな?…まぁ夜も遅いからね…目は擦っちゃ駄目だよ。土が手に付いてるから」
『…ぅんう……!』
眠たそうに目を擦るA君の手を掴み止める。眠さがピークに達しかけているのだろう、ややぐずり気味に首を横に振ったA君を抱き上げ理事長に声をかけようとダリ先生達の方を振り返る
『おししょーさまぁあ…!』
イヤイヤと泣き出したA君が、おししょうさまと口にしたその直後、地面を揺るがす爆音と共に凄まじい土煙が辺り1面を包み込んだ
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風船ガム - くじらさん» 朝からの癒しになって良かったです!更新頑張ります! (9月6日 20時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
くじら(プロフ) - 朝っぱらから癒やされました。更新頑張ってください…! (9月6日 6時) (レス) @page12 id: 85541f6d4c (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - コウさん» ありがとうございます!これからも更新頑張ります (9月5日 9時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
風船ガム - 赤憑さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて良かったです…!ご希望に添えられていたら幸いです……是非これからもよろしくお願いします (9月5日 9時) (レス) id: f0222be816 (このIDを非表示/違反報告)
コウ(プロフ) - とても面白かったです!これからも頑張ってください! (9月5日 6時) (レス) @page9 id: e3e40485f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風船ガム | 作成日時:2023年4月29日 23時