Fall. (ページ27)

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27 Just kidding. ……Not! ページ27

その日の内に、私はルッペルさんと
準備を進めた。
その時間がとても楽しくて、
ずっと続けばいいのに、と思った。

おおかみさんは
退屈そうに玉座で指を弄っている。
私はおおかみさんの昔の家に呼び出した。

緊張する。
ずっと前に絵本で読んで、
いつかこうできたらいいなって思ってた。
私のおとうさんとおかあさんが、
ずっと守れなかった、約束。

「どうした？ルナード。」
えぇと、ね。
と、言葉を濁す。
あぁ、やっぱりこういうのって、
緊張するんだなあ。
胸の鼓動が速くなる。
どんどん、どんどん。
「あのね、おおかみさん。」
私は、ポケットの中のものを取り出して、
おおかみさんに届くように掲げた。

「私と結婚してください。」

ルッペルさんと一緒に、
草で作った小さな指輪。
何号かなんて分からないけれど、
もし入らなかったら、作り直せばいい。

「へ？」
おおかみさんが、間抜けな声を出した。
それまでにも、
こんなに時間がかかっているのだ、
よっぽど状況が飲み込めないに違いない。
「ほ、本当に？」
おおかみさんの声が震えている。
焦れったいな、男らしく早く返事してよ。
「嘘じゃないよ。
おおかみさんがそう言うだろうと思って、
今日言ったんだから。」

私は、震えているおおかみさんの
目を見ながら、続けた。
「前、絵本で読んだんだ、
結婚って、
ずうっと一緒にいる約束なんだって。
だから、約束しようよ、おおかみさん。」
おおかみさんは、急に泣き出した。
ここまで言ったら、もう怖いものは
おおかみさんの返事だ。
本当は、お前なんか好きじゃないって
言われたらどうしよう。
今までのことが全部夢だったら？
「はい、喜んで。」
おおかみさんは、そういうと、
私のことを優しく抱き締めた。
髪の毛がすこし、くすぐったかったけど、
暖かくて心地好かった。

その様子をこっそり見ていた
ルッペルさんに小さくピースすると、
ルッペルさんも、
満面の笑みでピースサインを返した。