Fall.

21　We love you. ページ21

昔、この世界は、魔物がはびこり、
人は最も弱い生き物だった。
しかし、人間は、
魔物に対抗する力を手に入れた。
そうして魔物の数は次第に減り、
今ではそれでも倒せなかった強い魔物しか
残っていない。

対抗する力は、
少しずつ必要とされなくなった。
こうして、力を手放す者が増え、
各地域に一人ずつしかいなくなった。

その人たちの血は大切に守られ、
今は"降ろし子"と呼ばれている。

その名の由来は、
その地域の守り神を降ろし、
魔物に対抗することからだという。
つまり、降ろし子は、再び人々が
魔物の脅威に晒された時、
守り神の力で人々を守る者なのだ。

しかし、彼らは、決して幸せではない。
降ろし子は、神を降ろすということから、
常に魔と背中合わせで生きている。
降ろし子は、
当然魔神を降ろすこともできるのだ。

彼らの力は、忌み嫌われている。
今は魔物の脅威などほとんどない。
そんななか、魔神を降ろす可能性のある
降ろし子は、差別の対象となってしまうのだ。

降ろし子は、その地域から逃げることは
できない。
ただ、虐げられるのみだ。

また、その力から、魔物に命を狙われることも珍しくない。

それが、今の降ろし子の現実なのだ。

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