Fall. (ページ18)

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18　I take lisponlity. ページ18

「私達は……魔物です。」
男の人が言った。

「そうだな……ようく知っている。
自分の身の丈くらいは……。」
「分かっていて尚、彼女を守る、と？」
「そうだ……。」
おおかみさんは、
真っ直ぐ正面を見ながら言った。
赤かった月が、白い光を放ちながら、
うみを照らしている。
「あなたは……同族を敵に回す
怖さを知らないらしい……。」
「いいや。
俺だって同族を認めたことなんてないさ。
だから……いいんだ。
今までと、何も変わりはしない……。」
「馬鹿なことを……。
谷の者はどうするのです！？
お父上は！？
貴方の命で、責任がとれるなどと
考えないで頂きたい！」
男の人は、感情を表に出した。
私は、おおかみさんと一緒に居ちゃ、
駄目なのかな。

「知ったことか。
親父が俺に何をしてくれたんだ？
谷は？
俺が何をしようと、されようと。
見向きもしない。
そうだろう？」
おおかみさんは、水平線を睨みつけている。
男の人は、言葉を見失っている。

「若様……。出過ぎた真似を致しました。
無礼をお許し下さい。」
男の人は頭を下げると、一緒になって
水平線を見ながら、何か考えているようだ。

私は、おおかみさんの顔をそっと盗み見た。
おおかみさんは、太陽とうみの間を見ていた。
私の視線に気がついたのか、おおかみさんは
ちょっとこっちを見て、
不器用に笑った。

作り笑顔だ。
分かっていても、どこか安心してしまう。
俺と同じように笑え。
そう言われているような気がするから。

「谷には戻れないな……。
ルナード、行きたいところはあるか？」
おおかみさんの作り笑顔が、みるみるうちに
へたくそになっていった。