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43 It is thing that want he. ページ43

「実を言いますと、
若様は死を考えております。」
若様と出会った時のことを
思い出していたのに、
今はもう別れのことを考えなくてはならない。
声に出してしまったからには、
きっと現実になるのだろう。
馬鹿だな。つくづく馬鹿だ、私は。
この男に本当のことを伝えなければ、
若様はいつまでも私たちのそばにいて下さる。
ルナード様だって、
私が無理やり直していたならば。

私は頭を振った。
今に集中しなければ。
若様の命に背くことは、
私の意志に逆らうよりも苦痛なのだ。

「そこで、若墜ちの谷を
あなたに継いでほしいのです。」
若様、これでいいのですか。
私には、まだ分かりません。
「なっ……。」
シエロは戸惑いを隠せずにいた。
私も、こんな風に若かったなら。
傷つけたなら、楽だったのに。

シエロは困惑に満ちた顔を、
次第に疑問で満たしていった。
何故、自分なのか。
分からないままそこに座っているからだろう。
申し訳なさが湧いてきた。
若い頃の若様を苦しめているようで。
ああ、若様。
何を思うにも、結局はあなたのところに
帰ってくるのに。

「実を言いますと、
若様の一人息子、ヴァリテ様は、
あまり谷を継ぐご意思がないようなのです。
それに、これはあなたにとっても
悪い話ではないのでは?」
私がそう言うと、シエロは身を乗り出した。
純粋に自分の利益を追求する、
良くも悪くも青臭いその姿勢が、
私はどうにも気に入った。

「失礼ながら、
あなたについて少々調べさせて頂きました。
どうやら、あなたは富豪掃滅運動の
餌食となっているようで……。」
失礼がないように、調べておいてくれ。
若様のお言葉に従って良かった。
この件もそうだ。そうなんだ……。
若様の最期のお手伝いをできるなんて、
ほら、従者冥利に尽きるというものだ。
そうだろ、ルッペル。

44 I have a something to tell you.→←42 My regret.


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設定タグ:シリアス , ペケーニョ・デレーチョシリーズ , アップルパイ   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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作者名:クインテット | 作成日時:2016年7月7日 22時

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