[短編集]＿一日一笑顔＿[曇天に笑う]

安倍―…油断禁物((くろる様リク) ページ26

「・・・ふむ」


「あははー・・・蒼世さん、いつまで私の髪の毛触ってるんですかー」



私の表面は笑顔だが、心の中は大パニックですよー。


なんて。


蒼世さんは、先程から私の髪の毛を触り続けている。


綺麗だな。とかいろいろ褒めてくださるんだけれども・・・。



「もう少しだけいいか」


「別に、いいですけど・・・た、楽しいんですか?」


「・・・ああ」



いや、あの


蒼世さんに髪の毛触られているって・・・


て、手が私の首に触れて・・・ふああああああっ!!!!(混乱



「A、耳まで赤いぞ。どうした」


「えっみ、耳!?い、いやあのっだ、大丈夫です。気にしないでください・・・」


「・・・そうか、分かった」



そう言うと、また何かに集中し始める。


私は、身体を固くしながらお茶を飲む


・・・味が伝わらないくらいに緊張してる・・・。


そう考えていると



「・・・何か違うな」



小さくつぶやいた。


いい加減、何をしているか知りたい私はすこし間をおいて、問う。



「な、何がです・・・?」


「いや、気にするな。もう少し我慢してくれ」


「は、はい」



問うても、期待したというか


思った答えは返ってこなかった。


何をしてるかっていう答えが欲しかったんですけど・・・。


返事を返すと、上にあげられていた髪が首元まで降りた。


・・・あ、もしかして、今更だけど髪の毛いじってる!?



「そ、蒼世さ・・・」


「なんだ」


「髪の毛・・・いじってます?」


「ああ」


「・・・私、知らなかったんですけど」


「・・・い、言ってなかったか。すまない、嫌だっただろう」


「い、いえっ、私は大丈夫です・・・」



そこで変な沈黙が流れる。


・・・ど、どうしようなぁ。何喋ったらいいんだろう


い、いや喋らなくていいのかな・・・?



「よし、出来た。・・・我ながら完璧だな」


「う、動いて大丈夫ですか?」


「ああ」



その返事を聞いて、ふぅ、と体が緩む。


そして、蒼世さんが鏡を差し出す



「お、おぉ・・・」


「気に入ったか?」



蒼世さんにしてもらったからか、綺麗にまとめられた髪型は輝いて見えた。


・・・こ、これから蒼世さんにしてもらおうかな。



「可愛いな、A」


「へっ!?」



でも、心臓が持たないかも・・・。

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