風に翔ける【究極の絆グリフォン】 (ページ10)

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「うわぁ、本当に来た…」

「そりゃそうでしょ、冗談だとでも思ってたの？」

「そういうことじゃないよ、気持ち的にさぁ」

雷門がここに来る、と聞かされたあの試合の日から、もう1週間も経ったのか…と溜息をつきながら、次々とバスから放り出されていく雷門イレブンをシュウと共に木の上から観察する。

ものの5分もすれば彼らは起き上がり、自分達の置かれている状況を理解したようだった。

…牙山の話では、この後彼らはアンリミテッドシャイニングと試合。痛めつけて、ダウンしたところを捕獲。だそうだ。

一度敗北させることで恐怖を植えつけて、さらに実力を高めさせようとする…至極合理的な方法だ。

「…私も試合、出たかったなぁ…」

「どうせチームゼロで出場するでしょ、数日の差だよ」

「そうだけどさぁ…」

もうすぐ試合だというのに、私がここにいる理由…答えは簡単、私は牙山によって、出場禁止命令が下されたから。

元々アンリミテッドシャイニングが12人のチームだということ、そして私がチームゼロの司令塔だということを考慮して、とのこと。

納得できることではあるが、やっぱり試合には出たい。それも、対戦したことのないチームなら尚更だ。ここに来てからというもの、練習相手はエンシャントダークだけだったのだ、私だって他のチームと戦ってみたい。

「揺れてきたよ、嫌んなるな」

「あれだよ、あの趣味悪い戦車みたいなの。邪魔だし環境破壊だし、いらないと思うんだよね」

ゴゴゴ、と地響きをたてながらやってきた赤い戦車を見つめながら、シュウが呟いた。それはあっという間に雷門イレブンを取り囲み、身動きが取れないようにしてしまう。

「酷いことするもんだよ…で、こっからの試合は白竜の無双タイムなんでしょ？1人で雷門を圧倒するとかなんとか」

「確かね… あ、見えてきたよグラウンド」

牙山が何事か雷門に話しかけた後、彼らの近くの地面が静かに開き始める。その風圧は近くの花を揺らし、木を揺らし…そして、現れたフィールド中央に立つ、白竜の真っ白な髪を揺らして見せた。…黙ってりゃモテるんだろうな、アイツ。

「早速剣城のこと挑発してるよ、全く白竜も懲りないね」

「ほんと何するにもなんか余計な動作が付け加えれてるんだよね…お恥ずかしい」

そういうところは全然変わらない。…そういうところは。

心の中でそう呼びかけた時、遠くのホイッスルの音が、耳に飛び込んできた。試合の始まりだ。