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け _ VI ページ6

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「それで、荒覇吐について知ってる事を教えろ」



中原とAは着地した擂鉢(すりばち)街をウロウロと歩き回っていた。



「えっとね、荒覇吐は伝承上にある神の眷属(けんぞく)だったような気がする」


「はァ?」

Aの云ってる意味が判らないのか無意識に声を荒らげる中原。


「確か、(はぎ)()脛巾(はばき)の神、日本神話以前の古き神。あまりに古いため正体は判らずじまい。本当はどんな字を書くかも判らないってさ。だから土地によって勝手な伝承が付け加えられて、色々な " アラハバキ神 " の類型(ヴァリエーション)が語られてるみたい」

前に依頼人から耳にした話だからね、とAは云う。



二人はそれから何も喋らずに歩いた。

貧民街化している擂鉢街を二人の足音が響く。



「それと、中原君」

Aは沈黙を破って中原に声を掛けた。



中原は足を止めずにチラリとAを見たが、何も云わない。



ココ(擂鉢街)が出来たのは荒覇吐が原因みたいでね、詳しくは羊の仲間さんにでも訊いてみてねぇ」

Aはそう云うと一人、走り出した。


「っおい!」


「中原く〜ん!ウチ、帰るから〜!次逢った時にはお茶でもしよ〜!」

そう云い複雑な地形の擂鉢街に姿を消していった。



「…何なんだ彼奴」

中原はポソリ、と呟き自分を帰路についた。



中原は考えていた。


Aは嘘を付かない、それは今日一日ずっといたから判る。

嘘は付かないが煽りはする、そんな奴だ。


だから、Aが先の『荒覇吐』の詳細で嘘を付く筈がない。


現に『利益』と『情』で生きている奴なため、

嘘を付いても自分に特がない事は判っている、だからアレは事実だ。



「面白くなってきたじゃねえか」




(だいだい)色の夕日が中原の背を照らした。




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な _ VII→←い _ V



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6月の飴玉 - 主人公は、とても策士ですね(笑)7年越しの約束、、こういうの自分的には大好物です!! (2020年5月18日 13時) (レス) id: 913e8668f8 (このIDを非表示/違反報告)
6月の飴玉 - いけないシリーズ、今更ながらですが、全て読みました!!とても好きです!!! (2020年5月17日 14時) (レス) id: 913e8668f8 (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - 新作ありがとうございます。楽しみにしていました。愛すべき馬鹿()な中原君が可愛いです。これからも楽しみにしています! (2020年5月14日 13時) (レス) id: 572474f9dc (このIDを非表示/違反報告)
水城紗綾(プロフ) - っえ好きです(初コメ失礼します。太宰さんの作品から一気読みしてきたんですけど、とても面白いです!限られた少ない話数でもわくわくしますし、最後に解説もついているので理解力に疎い私でもすらすら分かります。更新頑張って下さい!) (2020年5月13日 15時) (レス) id: b9b27c6835 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:遠藤氏 | 作成日時:2020年5月13日 11時

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