ミイラ取り 牡丹 ページ45
日曜日、多くの人が休みで、珍しく俺も例外ではなかった。
今日は家でゆっくり、夕食の献立でも考えながらゲームでもしよう、そうしよう。
電話がかかってきたのはそんな時だった。
「もしもし〜」
久しぶりのその名前を見て少し心を踊らせる。
「も、もしもし兄様!助けて!」
「え!?ちょ、どうしたのA」
「ししし白服さんの部屋に、っわー!!!」
「は!?ちょ、なんなの…」
白服さんの部屋がなんだっていうんだ。そもそもなんでそんな所にいるんだ!
モヤモヤしつつ何かあっては行けないので確認しに行く。
「もーA、どうした」
「兄様!!!!!」
部屋鈴を鳴らすまでもなく部屋の前で何故か二人とも半泣きの状態でうずくまっていた。
「にーちゃん、ごめん…」
「まさかとは思うけど」
「ごめん兄様」
「…まーじで?」
俺が呼ばれた理由。
そう、虫退治。
ずかずかと家に入り込み、パソコンの横らへんにぶら下がるあいつをティッシュでひょいと包んでお外にリリース。
「はい、逃がしたから」
「ありがとう〜にーちゃーん…」
「っはー兄様仏様だね」
はいはい俺だって虫得意なわけじゃないんだからね!
それよりも気になるのはなぜここにAがいるのか。
「ちょっと、その、ね、しろろ」
「あーうん、ね」
その後んじゃ!と逃げるように部屋に入る白服さん。俺はAの首根っこを掴んで自分の部屋に連行する。
「白服さんのとこで何してたの?」
「ちょっと、相談を…」
話を聞くと、
相談したいことがあって電話をしていたところ、白服さんの叫び声が聞こえたと。
どうしたのかと聞くと虫がでたと言うので、まぁ虫ならある程度のやつは倒せる!と意気込んで部屋に向かったところ、どうやら唯一嫌いな蜘蛛だったため、仕方なく俺を呼んだという。
「ミイラ取りがミイラになってどうするの」
「ほんと、面目ない…」
「いいけどさぁ…」
珍しくAの方から連絡が来たとよろこんだあのときの俺の純情な感情を返して欲しい。
「その、、相談、した結果、なんだけど」
「ん?」
「明後日、その、デート、して欲しくて」
俺も単純なもので、
今までのモヤモヤや悲しみは即座に吹き飛んでいった。
「もちろん、いいに決まってるじゃん」
「!よかったぁ…」
安堵したように笑うAは、やっぱり可愛くて。
明後日の俺はもっとドキドキすることを、今の俺はまだ知らない。
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ぽにし(プロフ) - ありがとうございます!リクエストをされた経験があまりないので上手くできるかは分かりませんがやってみますね! (2018年9月1日 11時) (レス) id: d00a8efe67 (このIDを非表示/違反報告)
あやり - いつも楽しませてもらってます!リクエストなんですが、のっくんとお部屋デートのお話を書いて欲しいです! (2018年8月30日 11時) (レス) id: 48605fbcd9 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにし(プロフ) - イヴさん» ありがとうございます!これからもニヤニヤさせられるよう頑張りますね! (2018年8月4日 18時) (レス) id: d00a8efe67 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにし(プロフ) - ことね@ ktnさん» それは良かったです笑 (2018年8月4日 18時) (レス) id: d00a8efe67 (このIDを非表示/違反報告)
イヴ - キュンキュン!! がとまりません!!ニヤニヤしながら読まさせていただいてます!更新(?)頑張ってください!! (2018年7月26日 21時) (レス) id: 6445a912e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽにし | 作成日時:2018年3月12日 19時