鋭い 黄金 ページ38
｢もしもし？｣
｢もしもし、白？｣
｢ん、どうしたの｣
会社からの帰り道、同期の白に電話をかけた。
｢いや、ちょっと…なんとなく｣
｢電車待ちで暇だから丁度良かったけど｣
｢そっか｣
たわいない話をしつつ、明るくて人通りの多い道を選んで歩く。
というのも、途中から聞こえ始めた足音、
気のせいかと思ったけどやけに私と同じリズムで。
歩みを早めても、立ち止まっても、私とずれることなく聞こえてくるそれは、恐怖だった。
それで思わず白に電話をかけた。
｢A、なんかあった？｣
白は鋭いなぁ。
助けて、そう言いたいけど白はもう駅、それに今はもういい時間だ。
いくら同期で仲良くしてくれていても、そんな迷惑をかける訳にはいかない。
｢なにもないよ？｣
｢そう？ところで、今どこ？｣
｢ん〜□□□駅周辺｣
｢まだ帰ってないんだ｣
｢うん、ちょっとね｣
ここから家に向かおうとすると、どうしても人通りの少ない場所を通らなくてはならない。
どうしよう、どうにかしてまかなきゃ。
｢A、ちょっと俺忘れ物取りに行くね｣
｢え？あぁ、うん｣
｢一回切るけどなんかあったら直ぐ電話して｣
｢わ、かった…｣
心細さしかないけど、大丈夫、まだ人通りが多いから。
そう思って遠回りの道を進んできたけど、さっきよりも足音が近づいてきている気がする。
ちょっと過敏になっているのかな。
やだ、怖い、怖い、怖い、怖い。
｢助けて…白…｣
今にも消えそうな声が零れる。
｢もう大丈夫だから｣
耳元でそう聞こえた一瞬の後に、私の後方で、
｢痛い痛い！！｣
という知らない男の声が響いた。
振り返るとそこには見知らぬ男と、それをいとも簡単に押さえつける白がいて。
｢白っ、なんで…！｣
｢Aの様子がおかしくて心配だったから｣
｢忘れ物って…｣
｢ふふ、急いでここ来る言い訳｣
なんか言えないことなのかなって思って探したら、この人がAをつけてるのが見えたからさ、
なんて笑顔で言い放つ。
―――――――――
男は近くの交番に連行されていった。
｢白、、その、、ありがとう…｣
｢ううん、Aの身に何も無くて良かった｣
｢ごめんね、迷惑かけちゃって｣
｢迷惑なんかじゃないよ｣
申し訳なさと、さっきの怖さと、白が来てくれた安心感で涙が溢れてくる。
｢A、もう大丈夫｣
｢ご、ごめ…｣
白は頭を撫でながらこう言った。
｢これからは、隣に俺がいるから｣
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ぽにし(プロフ) - ありがとうございます！リクエストをされた経験があまりないので上手くできるかは分かりませんがやってみますね！ (2018年9月1日 11時) (
レス) id: d00a8efe67 (このIDを非表示/違反報告)
あやり - いつも楽しませてもらってます！リクエストなんですが、のっくんとお部屋デートのお話を書いて欲しいです！ (2018年8月30日 11時) (レス) id: 48605fbcd9 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにし(プロフ) - イヴさん» ありがとうございます！これからもﾆﾔﾆﾔさせられるよう頑張りますね！ (2018年8月4日 18時) (レス) id: d00a8efe67 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにし(プロフ) - ことね@ ktnさん» それは良かったです笑 (2018年8月4日 18時) (レス) id: d00a8efe67 (このIDを非表示/違反報告)
イヴ - ｷｭﾝｷｭﾝ!! がとまりません！！ニヤニヤしながら読まさせていただいてます！更新(?)頑張ってください！！ (2018年7月26日 21時) (レス) id: 6445a912e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽにし | 作成日時：2018年3月12日 19時
