花火 露草 ページ36
早朝に目が覚めて外に出る。
今は昨日の土砂降りが嘘みたいに晴天。
濡れたアスファルトから漂う独特な香り。確かぺトリコール、って言うんだっけな。
「なーんで昨日かな…」
クラスの男女数人で浴衣で花火大会にいこう!
なんて、君に会うためだけに承諾した約束は雨に全て流されてしまった。
せっかく柄にもなく可愛い浴衣選んで、髪の毛のセットだって1週間ずーっと悩んで、いよいよ!っていう日に見事土砂降り。
もちろん花火大会は中止。
私の夏休み、終わった。
そう思って重い足取りで部屋に戻る。
彼からメールが届いたのはそんな時だった。
『昨日、残念やなぁ』
きっとぷんちゃんは皆で見れなかったことに対してなんだろうな、この分からず屋、
なんて心の中で悪態をつきながら返信する。
『そうだね』
色々考えて、それだけ送る。
…本当は二人だけで会う機会を作るチャンスだって、気づいていたんだけどな。
そこからはしばらく返信が来なくなった。
まぁさっきの返事じゃそんなに残念そうに見えないしなぁ。感じ悪すぎたかな。
勉強もしないでごろごろ過ごす。
…もしこのまま返信もこないで、夏休みが過ぎてしまったら、
やっと、やっと最近普通に話せるようになったのに、何も無いからおはようさえ言えなくなってしまいそうで、嫌だ。
手の中の携帯が震える。
もしかして、と思って通知を見ると、それはクラスのグループのもので。
どうやら今日男子が遊びながら撮った動画が送られてきたみたいだ。
開くと、皆の真ん中で笑うぷんちゃん。
少し日に焼けたのか、ほんのり肌が赤くなっている。
あぁ、会いたい、早く、早く休みが終わればいいのに。
「長い…」
君に会えない日々が長い…。
会いたいよって言える程の距離感じゃないし。
一緒に、線香花火とか、したいなぁ…。
同じ気持ちでいてくれたならいいのに。
瞼が重くなって、それから私は眠りに落ちた。
その眠りから覚めた時、
嬉しさに身を震わせる事になるとは知らずに。
『なぁ、もし良かったらなんやけど』
『二人だけで花火でもせぇへん?』
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これも何かの曲のパロだったり
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ぽにし(プロフ) - ありがとうございます!リクエストをされた経験があまりないので上手くできるかは分かりませんがやってみますね! (2018年9月1日 11時) (レス) id: d00a8efe67 (このIDを非表示/違反報告)
あやり - いつも楽しませてもらってます!リクエストなんですが、のっくんとお部屋デートのお話を書いて欲しいです! (2018年8月30日 11時) (レス) id: 48605fbcd9 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにし(プロフ) - イヴさん» ありがとうございます!これからもニヤニヤさせられるよう頑張りますね! (2018年8月4日 18時) (レス) id: d00a8efe67 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにし(プロフ) - ことね@ ktnさん» それは良かったです笑 (2018年8月4日 18時) (レス) id: d00a8efe67 (このIDを非表示/違反報告)
イヴ - キュンキュン!! がとまりません!!ニヤニヤしながら読まさせていただいてます!更新(?)頑張ってください!! (2018年7月26日 21時) (レス) id: 6445a912e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽにし | 作成日時:2018年3月12日 19時