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その一言で 紅緋 ページ27

ついに来てしまった卒業式の日。
ずっと、ずっと来て欲しくなかったのに。





「寂しいー!」
「わたしもー!」




クラスの友達と抱き合いながら別れを惜しむ。
3年間の思い出を振り返りつつ、教室で先生を待つ。
最後のホームルームを終えれば、もう皆と毎日を過ごす事ができなくなってしまう。




「A」




大好きなその声に振り向けば、さっきまで号泣してた私とは正反対に笑顔の君。



「あおい君…」
「うはっ、目真っ赤!」
「うっ、うるさいよ!」



楽しそうにケラケラ笑うあおい君。
もう、この笑顔を直接見ることはないだろう。



アイドルになるって、正直嘘だーなんて思ってたけど、
授業に出られない日、早退していく日が増えて、クラスの行事にも参加出来ない事があって、あぁ、本当なんだってわかった。



「こんな俺と仲良くしてくれてありがとな」
「いやいやむしろ忙しいのに構ってくれて」
「皆大事な友達だからさ!」




私はずっとあおい君が好きだった。
高校に入学して、気さくでかっこよくて、でも可愛くてちょっと、小さめで。
そんなあおい君に、恋をしてた。



「あおい君、帰る前、少し時間ある…?」
「んー、うん、大丈夫」
「なら後でアルバムにメッセージ貰っていい?」
「おっけ!」



感動的な先生の話でまた泣いてしまったり、友人の奇跡的なタイミングのクシャミで大笑いしたりして、楽しい時間はすぐ終わりを迎えた。



わざわざ少し人の少ないところへ移動する。
それというのも、あおい君が人気すぎて長蛇の列ができそうだったから。




「何書こうかなー」
「一言だけでいいからね」
「それも難しい」


油性ペンを弄びながらふんふんと鼻歌を歌うあおい君に声をかける。



「あおい君」
「ん?どしたー」
「あのね」



ずっと、好きでした。
何かを言ってほしいわけでも、どうにかなりたい訳でもなくて、
ただ、あおい君のおかげで高校楽しくて。




今までの全ての気持ちをまとめて、私はこれだけ伝える。




「友達になれてよかった」





勝手な自己満足を、何も言わず聞いてくれた。
きっと、あおい君には全てばれてるんだろうな。



「ごめんね、こんなことに時間使わせて」
「…」
「ありがとう、もう、帰るから」



そう言ってアルバムを受け取り、その場を離れようとする。




「ありがとう」




ただ、その一言だけ。
ただ、その一言が、私を強くしてくれた。




「ありがとう、あおい君…」



お互い頑張ろうね。

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ぽにし(プロフ) - ありがとうございます!リクエストをされた経験があまりないので上手くできるかは分かりませんがやってみますね! (2018年9月1日 11時) (レス) id: d00a8efe67 (このIDを非表示/違反報告)
あやり - いつも楽しませてもらってます!リクエストなんですが、のっくんとお部屋デートのお話を書いて欲しいです! (2018年8月30日 11時) (レス) id: 48605fbcd9 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにし(プロフ) - イヴさん» ありがとうございます!これからもニヤニヤさせられるよう頑張りますね! (2018年8月4日 18時) (レス) id: d00a8efe67 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにし(プロフ) - ことね@ ktnさん» それは良かったです笑 (2018年8月4日 18時) (レス) id: d00a8efe67 (このIDを非表示/違反報告)
イヴ - キュンキュン!! がとまりません!!ニヤニヤしながら読まさせていただいてます!更新(?)頑張ってください!! (2018年7月26日 21時) (レス) id: 6445a912e7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽにし | 作成日時:2018年3月12日 19時

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