What's your color？【短編集】

牡丹一華 牡丹 ページ13

貴方はいつも笑顔で、
コンビニスイーツから私が失敗したご飯までなんでも美味しそうに食べてくれる。





｢失敗じゃないよ！おいしーじゃん！｣






落ち込んだら笑い飛ばして、抱きしめてくれる。
私が泣いたときは、疲れたねってホットミルクを作ってくれる。






｢んー、取り敢えず寝ちゃおっか｣





私は応えられているだろうか。
私のアイドル、私だけを愛してくれる、
歪みの知らない真っ直ぐな愛を伝えてくれる彼に。




｢愛してるよ｣


うん、私も愛してるよ。


｢愛してるよ｣


愛してるよ。



私はまだ言葉にできずにいるけど、にーちゃんのこと、愛してる。
一生をかけて幸せにしたい、ずっとそう思っている、今もそう。
一秒でも長く幸せでいて欲しい。
その幸せを、私が作れたなら私も幸せだと思う。









｢僕の一生を捧げるから、君の一生を頂戴｣




優しい声で、暖かな手で、私を包んで離さない。




｢1人にはさせないから｣



思わず涙が溢れる。




｢私でいいの｣



自信なんかずっとなくて。
幸せにできているのかな、隣にいるのは私で大丈夫なのかな、何度も考えた。



｢Aがいいんだよ｣




私、まだ上手にご飯作れないよ。




｢愛が詰まってて美味しいよ｣




悩みだって解決してあげられないよ。




｢一緒に悩んでくれるじゃん｣




私は、
私はそんなに真っ直ぐに愛を言葉に出来ないよ。




｢いいよ、代わりに俺がたくさん言葉にする｣




この人は、なんて優しいんだろう。
いつも、私がグズグズしてると叱ってくれて、
でも否定せずに励ましてくれて…。
こんな人に出会えた事が私の一番の幸せで、誇りであること、伝えなきゃ、ちゃんと。







｢愛してるよ｣




やっと、やっと言葉にできた。
そう、愛してる、私だって。



大きく瞳を開いたにーちゃんは、不意に私を抱きしめた。痛いくらい、苦しいくらいに。
でも、全て愛だった。









｢…やっぱりたまには言葉にしてよ｣
｢ちょっと、難しいなぁ｣
｢じゃあさ、挨拶だけはきちんとしよう｣
｢うん｣
｢俺はそれを愛として受け止めるから｣
｢…うん｣






｢今日は、もう寝ちゃおうか｣



｢うん｣



｢おやすみ、A｣





精一杯の愛と感謝を込めて言う。





｢おやすみ｣









―――――――――
牡丹一華(ぼたんいちげ)はアネモネ(WindFlower)の和名だそうです。

チラ見せされた部分だけでなぜか涙が止まらなかったのでその勢いでつい。

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