マスク越し 牡丹 ページ1
「あーづらぃぃぃい」
そう嘆けば台所にいるにーちゃん(っていっても実の兄ではないんだけど)が、
「あーうんうん、そうだねー」
ってスルー。
私はココ最近で一番の風邪をひいてダウン中。
喉は痛いし咳もでる、鼻も詰まるし身体は痛だるい。
「あぁあなんて生きづらい世の中だ…」
「何悟ってんのーやばー」
そう言ってお粥を持ってきてくれるにーちゃん。
生きるのが下手な私は風邪をひくとパタリと連絡がつかなくなることを知っているにーちゃん。何度目かの看病をしに来てくれていた。
「やばいねー、ついに今回頭もやられたのー?」
「元々ですー…ってうわ、おいしい」
「ん、良かった」
暖まるーまだ生きてられるーさすがにーちゃんだねー、
そんな事をうわ言のように呟きながらお粥を完食する。
「最近身体弱いね?ちゃんと生活してる?」
そう問われると、ハイとは言えない生活リズム。あとはそう、
「にーちゃんが甘やかすから」
だから私の身体がもう強がらなくていいや!風邪?ひいちゃえひいちゃえー!ってなってるの。
「そんなこと言って」
まったくー、いつでもこられるわけじゃないんだよー?いくらAが好きだからって飛んでこれないこともあるんだからー、
なんていいながら毎回来てくれる、私のヒーロー。
「ねぇ、頑張って早く治すね」
「うん、そうして」
「そしたら、
キス、して」
ただでさえ大きい目をもっと大きく開くにーちゃん。あれ、何でこんなこと言ったんだろ、あぁ、熱で頭が回らない。
「なーんてね、嘘うそ、冗談」
「…」
「ごめんて、怒んないで」
好きと言い合ったり互いに助け合うことはあっても、別に付き合ってるわけでもなく、私の一方的片思いなのに、
ああ、やだ、だから風邪なんてひくものじゃないんだって。
「…ごめん、そんな事言われたら」
わかってる、だから冗談だって、
「待ってあげられなくなるでしょ」
目が合う。
「え、にーちゃ、それ、どーゆこと、」
「せっかくずっと我慢してきたのに」
ずるいなぁ、そう言ってにーちゃんは私のマスクを上げる。
流石にうつされると仕事的に困るから、
そう言ってにーちゃんはマスク越しに私にキスをした。
「今はこれで我慢、ね」
「にーちゃ、ん」
「治ったら、そうだな、デートしよっか」
もう一度マスク越しにキスをして、彼は微笑んだ。
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ぽにし(プロフ) - ありがとうございます!リクエストをされた経験があまりないので上手くできるかは分かりませんがやってみますね! (2018年9月1日 11時) (レス) id: d00a8efe67 (このIDを非表示/違反報告)
あやり - いつも楽しませてもらってます!リクエストなんですが、のっくんとお部屋デートのお話を書いて欲しいです! (2018年8月30日 11時) (レス) id: 48605fbcd9 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにし(プロフ) - イヴさん» ありがとうございます!これからもニヤニヤさせられるよう頑張りますね! (2018年8月4日 18時) (レス) id: d00a8efe67 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにし(プロフ) - ことね@ ktnさん» それは良かったです笑 (2018年8月4日 18時) (レス) id: d00a8efe67 (このIDを非表示/違反報告)
イヴ - キュンキュン!! がとまりません!!ニヤニヤしながら読まさせていただいてます!更新(?)頑張ってください!! (2018年7月26日 21時) (レス) id: 6445a912e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽにし | 作成日時:2018年3月12日 19時