片翼の竜【ヴィランズ手下】 (ページ33)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:44,944 hit

第31話ページ33

浴場の扉を開くとすぐ目の前には車ほどの大きさのドラゴンがこちらを不安げに見つめながら佇んでいた

銀色に輝くその姿を見てリクルーター達は息を飲む

マルフィ｢A、おいで｣

柔らかな声でドラゴンに呼びかけるマルフィ
恐る恐る彼女は扉から顔を出し身体の半分を扉から出す

マルフィ｢改めて紹介しよう、マレフィセント様に仕えているこの世で最も美しいドラゴンのAだ｣

よろしく頼むよとAを撫でながら朗らかに笑うマルフィを他所にAを目にした彼等は呆然としていた

じっと見つめられている事に不安を感じたAはそっと首を下げマルフィの背に顔を隠す

マルフィ｢おや、どうかしたかい？｣

呆然と立ちつくしたままの彼等を怪訝そうに見つめるマルフィ
彼の問いにようやく我に返ったのかワッと騒ぎ出すリクルーター

ジャック｢え！？めちゃくちゃキレイじゃん！！｣
ファージャ｢ほんますっごいキラッキラしとる！！｣
ホック｢ドラゴンとはこんな美しい生き物なのか…！｣
ダルメシア｢すっごくカッコイイじゃないか！！｣
スカー｢さっきはビックリしたけど落ち着いてみれば可愛いじゃない！｣

彼等の反応にマルフィはウンウンと頷きAは目を丸くし、ゆっくりと顔を上げる
彼女は彼等が自身に嫌悪や敵意を向けていないと分かるやほっと息を着く

エイトフット｢……｣
アップル｢実に…美しい……｣
ハーデス｢立派な角…そこまで大きいわけじゃないのね｣
ヴェール｢とても美しいですわ……あら？翼が…｣

ふと、ヴェールが彼女の背中から生えている翼に目を向ける
本来2つ生えているであろう場所にはひとつしか翼が付いておらず、大きな古傷があった

ヴェールの視線に気づいたAはサッと大きな翼で自身の体を隠し彼等から見えなくする

ダルメシア｢なんで隠しちゃうんだ？｣
マルフィ｢……｣

翼で完全に身を隠したAは沈黙し、それをマルフィは沈痛な面持ちで見つめる
そしてマルフィは彼女にそっとタオルをかけ、脱衣所から彼等が出るよう促す

ファージャ｢な、なんやの急に｣
マルフィ｢すまない、説明するから1度外へ出よう……しばらくA1人にさせてくれ｣
エイトフット｢……｣