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なのかめ ページ8

*




最後の日。

今日は、会社を休むことにした。だって、なんか落ち着かないし。


朝からも、炭治郎くんは不自然なくらい“いつも通り”だった。本当に今日、居なくなってしまうの?私を置いて帰ってしまうの?……こんなに寂しいのは、私だけなの。


ーーたわいもない話をした。炭治郎くんには、鬼になってしまった妹さんがいるらしい。でも、人間に戻すために頑張っているんだって。あと、泣き虫だけどやる時はやってくれる男の子とか、猪頭を被ってる男の子とか……たくさんの仲間がいたんだなあ、炭治郎くんには。そりゃあ、こっちの世界にも未練はないか。早く元の世界に戻りたいくらいだよね。


「……お姉さん、なんか変なこと考えてません?」

「え、何?」

「そんな匂いがします」

最後まで分からなかったなあ、その謎の匂い理論。

「…炭治郎くんは、こっちの世界にはあんまり魅力というか…そういうの、なかったのかなと思って。だって、元の世界にはたくさん仲間もいたわけでしょう?」

「俺には!……俺には、お姉さんがいます。この時代に、仲間も誰も居なくても…お姉さんがいれば、俺はそれでいいんです」

「大袈裟だなあ、もう」

「……全然大袈裟なんかじゃないのに」





気付けばもう夕方になろうとしていた。ああ、最後なのに。こんなに時が早く進んでしまうなんて……この感情は何だろう。名残惜しい?いや違う、そんなものじゃない。


「お姉さん」


真面目な顔をして、こちらに向き直る炭治郎くん。








「……ん?え、何急に…」

「あなたを忘れたくない。離れたくない。ずっと、側にいたい

出来ることなら、お姉さんを連れていきたい」

「何、言って…」

「でも、そんなことは出来ない。あなたを、あんなに危ないところには連れて行けない。
お姉さんには、この時代で、平和に過ごしていてほしい…」

「いや、そういう、告白みたいな……」





「ーー好きです、Aさん。ずっと、ずっと前から」





こんな時だけ名前で呼ぶなんて。それに、今更そんなこと言われても。
……言いたいことは色々あるのに、何も口から出てこない。
炭治郎くんは、「少し外に出ます」と言った。私は、「帰ってくるよね」と尋ねた。
炭治郎くんは、「もちろん」と答えた。





それなのに、炭治郎くんは二度と戻ってくることはなかった。



…私に、炭治郎くんへの恋心だけ残して、この時代からいなくなってしまったのだ。





*

終→←むいかめ



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くらげ(プロフ) - もちさん» コメントありがとうございます!続編、書くことにしました!拙い文だとは思いますが、是非… (2020年1月6日 8時) (レス) id: f0dc91b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - ぽさん» コメントありがとうございます!炭治郎目線の話、書いてみようかと……よろしくお願いします。 (2020年1月6日 8時) (レス) id: f0dc91b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - 友鏡さん» コメントありがとうございます!続編作ってみました…!よろしくお願いします! (2020年1月6日 8時) (レス) id: f0dc91b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
もち - あの、この続編書いていただけn(殴 (2020年1月6日 0時) (レス) id: cd1b07e792 (このIDを非表示/違反報告)
- 面白かったです!炭次郎目線のお話も書いて欲しいです…無理せず、自分のペースで頑張ってください!応援してます!! (2020年1月4日 21時) (レス) id: cd196ace40 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くらげ | 作成日時:2019年12月27日 22時

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