ただのお手伝いですので【時透無一郎】

何だって ページ5

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…やってしまった。

ご飯を作ろうと厨房に来たはいいものの…材 料 が な い ！ ！ ！

そうだった、今から買い出しに行こうと思ってたんだった…！！今あるのは、……夜ご飯に食べようと思って出汁につけていた大根だけ。あれ、でも、丁度いいんじゃない？大根って、確か消化も良かったし。ああ、霞柱様に好き嫌いあるか聞いておけば良かった。大根、嫌いかなぁ…
ん、大丈夫、大丈夫。流石に嫌いなもの出したくらいで殺されたりはしないでしょう…で、でも、結構冷たい感じの人だったからなあ…泣
うーん、でも、作るならふろふき大根かな。よし。覚悟決めよう。おいしいものを作ればいいんだから！



ーー数十分後。

私は、霞柱様の部屋の前に正座をしていた。

大丈夫、大丈夫。おいしくできたから。…うう、怖いな…怒らせたりしてしまったら、蝶屋敷にも迷惑がかかってしまう…そうなったら、私、辞めないといけないかな、せっかく頂いたお仕事なのに。


「ねえ、人の部屋の前でずっと何やってるの？」

「うわあああ！！？…かっ、霞柱様…！申し訳ありません…その、ご飯、作ってきまし、た…」

「……あ、そういえばそうだったっけ。忘れてた…………

えっと、入れば？」

「あ、えと、失礼します…」






「ふろふき大根です。美味しくできたと…思います」


無言。え、もしかして、やっぱり嫌いだったのかな。霞柱様の顔を恐る恐る見る。





あれ。笑って…る？え、なんで…

「よく分かったね。俺、ふろふき大根好きなんだ。…いただきます」

「は、ど、どうぞ…」



「んー、おいしい。出汁がきいてるね。……ねえ、これから、うちでご飯作ってくれない？」

「え？…いや、今、なんと…」

「だから、うちの屋敷で働かないかって。考えといてね」

「は、はあ」


「任務ヨ任務！！南南東！南南東デ男女ガ毎夜イナクナッテイル！南南東！！チョットアンタ！！」

「…へ、私、ですか？」

「ボケットシナイ！誘ワレテイイ気ニナッテ浮カレテルンジャナイノ！？私ハ認メナイワヨ！！！」

「は、はい…」

「もう、行くよ。…じゃあね、えっと…あれ、名前、何だっけ」

「……芦辺です…」

「そっちじゃなくて」

「あ、A、です…？」

「A。うん、A。またね」

「…………はい…」



…圧倒されてしまった。え、さっきなんて言ってた？



……私が霞柱様の屋敷で働くって！！？！？





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