ただのお手伝いですので【時透無一郎】

出会いは ページ3

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親が居なくなって、一人彷徨っていたところを御館様に助けていただいて。
そして、お仕事も頂けた。今は、蟲柱の胡蝶しのぶ様の蝶屋敷というところで働かせてもらっている。

ここには、怪我をした隊員などが運ばれてくる。私は専門的な知識は持たないので、食事を作ったり、隊員様の体調を観察したり。少し大変だけどやりがいのある仕事だと思う…「ねえ、あんた、名前は？」

「え？」

唐突に。




「だから、名前」

「えっと…芦辺、Aと申します。何か御用でしょうか……霞柱様」

「………えっと…ううん、忘れた」

「え？」

「もういいよ、…あれ、名前、なんだっけ」

「は、はぁ。失礼します…」



…今の方は、数日前からこの屋敷に滞在している、霞柱様だ。少し厄介な血気術をくらってしまったらしく、実はついさっきまで高熱にうなされていたのだ。でも、目を覚ましたらけろっとしてるし。熱を測ろうとしたら、急にさっきみたいなこと聞かれるし。不思議な方だ…でも、柱様というのだから、相当な実力の持ち主なのだろう。聞けば、まだ14歳だとか。霞柱様の手は、14歳とは思えないほどに硬く、傷もあって…戦うものの、手だった。

そんな風にぼんやり考え事をしていると。

「あら、A…時透さんはもう目を覚まされましたか？」

「しのぶ様…はい、先程目を覚まして…元気そうでしたよ。経過は順調なようです」

「そうですか…ではもうそろそろ、ここを出られるかもしれませんね」

「え…もう、ですか！？まだ早いと思うのですが…！l

「柱の回復力はそこらの隊員とは違いますよ。特に、時透さんは…気力でどうにかしてしまうのではないですか？」

「…そうなんですね…」

「荷物をまとめるようなら、お手伝いしてあげたら良いんじゃないですか？…まあ、話はできないかもしれませんけど…」

「あ、そうですね。じゃあ、行ってきます！」


まあ、仕事だし。多少話が続かないくらい、なんとも思いませんよ。それに、霞柱様は病み上がりだし。私はそのくらいの方が気が楽でいいけど。




ーーなんて、呑気に考えていたこともありました！！！



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