@公園 ページ10
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「ごめんね中也、って、わ!」
予想通り駆け寄ってきた彼奴、その腕を引き寄せて乱暴に口付ける
深く深く、口付ける
ここが公園だとか、そんなのはどうでも良かった
「ちょっと、も、中也!」
息が限界なのか、俺の胸を弱々しく叩くAに、名残惜しくも唇を離す
肩で息をするAは、何が起こったのか、理解が追い付いていないようだった
「悪い」
「ううん、中也だから大丈夫」
涙目で強がるAに、胸が締め付けられる
ふわり、鼻をくすぐるAの匂いは、やっぱり陽だまりのお花畑で
「これ、手前にやるよ」
「__へ?」
ぶっきらぼうに差し出した包み
Aが戸惑った様子で、リボンで飾られた包みを開けた、その中には
「麦わら帽子と、髪飾りに、イヤリング? ハンドクリームと、ネックレスもある」
___俺は結局、全てをAに贈った
お陰で大きな包みになってしまったが、俺のAへの気持ちに比べれば小さいものだ
それから極めつけの花束を、押し付けるように渡す
ものすごく照れくさくて、Aの方をまともに見れる訳もなかった
「綺麗なお花……これ、全部私に?」
「……おう」
もっと恰好良く渡すつもりだった、昨日の夜のイメトレはもはや水の泡だ
けどAは記念日を覚えてねえし、俺は出会い頭にキスを押し付けちまったし
喜んでもらうなんて、無理かもな
なんて思ったその時、伏せた視界の中で、花束に雫が落ちた
視界を上げると、目に入ったのは、大きく目を見開いて涙を零すAの姿
「な、何で泣いてんだよ」
と、絞り出すので精いっぱいなほど、俺はその大粒の涙に見惚れていた
俺の言葉に涙を零しつつ、困ったように笑うAはとても綺麗で
「有り難う中也、すごく嬉しい」
" 嬉し過ぎて泣いちゃった " って
それは、喜んで良いのか?
「手前の喜ぶ顔が見たくて、俺が勝手にしたことだ」
何となく笑顔を想像してたが、まさか涙に飾られた表情をするなんてな
泣いてて、でも笑ってて、そんな矛盾した表情でもAの愛らしいその顔には映えていた
「ごめ、ごめんね、中也、」
止まることを知らず、溢れ続ける雫を拭って、Aがぽつりと呟いた
「本当は私、今日が何の日か判ってたの」
次の瞬間、俺はAを抱き締めて
____ドサリと、花束の落ちる音がした
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留羽謝(ルーシェ)(プロフ) - 中也さんイケメンっ!!ありがとうございます!美味しかったです!!! (2018年2月8日 22時) (レス) id: 1767e80507 (このIDを非表示/違反報告)
世界のバカっこ!(プロフ) - 無事死亡。どんぐりさんほんといつもいつも私をキュン死させてしまう作品を作って……有難うございますっ!!中也さんかっこいい夢主ちゃん可愛い。最高でした(震え声) (2017年11月11日 12時) (レス) id: 391940a815 (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - プロポーズキターーー−−−−−−−−−−−−−ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!! (2017年11月3日 22時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - 中也かっこいい!つーかうぶかよ! (2017年11月3日 22時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
れんれんれれれ(プロフ) - 中也さんがかっこよくて!!中也さん目線の時はかっこよさと可愛さがあったのに夢主目線の時はただただ格好よくて………ドキドキしました!! (2017年11月3日 21時) (携帯から) (レス) id: f40e23ddec (このIDを非表示/違反報告)
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