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何気なく引かれた手

もう何度か握ったことのあるその手は、やっぱり温かくて逞しい

自然と握り返して笑う自分に、そっか、私は嬉しいのか、って後から納得した

__って、いやいや、一体何を納得してんだ私は、何で中也の手なんか嬉しがって、もう!



「な、何かすんごい疲れたんだけど」



今更手を離すことも出来なくて、繋いだままのそれから気を紛らわせるように口を開く



「俺も、青鯖と会うのは二度とごめんだ」



歩きながら、中也が頷く

良かった、太宰さんにかなり苛々してたから、ちょっと心配してたりしたんだけど

その様子を見る限り、いつも通りの中也で安心する

そして、安心したら、やっぱり聞きたくなった



「中也、太宰さんと何話してたの?」

「手前こそ、いつから太宰と知り合いなんだよ」



まさかの、質問返し

しかも私が答えるまで答えない、とでも云いたげな目をするもんだから、軽く溜め息を吐いた



「んー、はっきりとは覚えてないけど」



多分太宰さんが幹部になる少し前くらい、彼がうちの父親を贔屓にしてくれて

そのうち両親の仕事を私が継いだんだった筈だ



「あっでも、太宰さんは別に、ただの取り引き相手だし、今日会ったのも久し振りで」



って、ほらまた

何で私はそんなに弁解するんだ

そこら辺は中也にどう思われたって良いじゃん、別に関係ないじゃん

___何でこの胸の奥は嫌がるの?



「で、中也は何話してたのさ」



これは、太宰さんの所為なのか

あんなに振り回された結果、自分で自分が判らなくなってしまったのだろうか



「___手前の話だよ」



だから、中也のこの一言にも、過剰に反応してしまうのだろうか

気になる、と一口に云っても

その感情には種類があって、私のこの気持ちは中也が私の何を話したのか、その一点に向かっていて


「これ以上は秘密だ」

「何でよ、私答えたじゃん」

「俺も答えるとは云ってねえ」



何それ、莫迦中也

そこまで云ったんなら、もう最後まで云ってくれれば良いものを

一人勝手にもやもやしながら、行く先の道を見下ろしてぐるぐる考えていると




「__おい、人来てるって」

「へ、わっ、ごめん」



繋いだ手を引き寄せられた

そのお陰で、前から来てるのに気付かなかった人を何とか避ける

__その時、肩が中也の体に触れて

中也の温もりを無意識に求めた、さっきのあの寂しさを思い出した



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ライム - めっちゃ最高でした!!中也かっこよすぎてつらいです!こんな最高の作品を生み出してくださってありがとうございます!!!! (2022年12月26日 17時) (レス) @page43 id: e7904a37c4 (このIDを非表示/違反報告)
なかはらあお(プロフ) - はじめまして、作品見させていただきました。お話の構成も内容もとても素晴らしく感動しかありません、どんぐり様のこれからのご活躍心より期待しております。長文失礼致しました。 (2018年4月22日 10時) (レス) id: a71351843d (このIDを非表示/違反報告)
藍音 - 凄く面白かったです!私の名字もナカハラがよかった... (2018年2月7日 0時) (レス) id: a82b5889f9 (このIDを非表示/違反報告)
- 完結おめでとうございます!!きゅんきゅんしました…! (2018年2月1日 22時) (レス) id: c5a450a737 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - こんな時間に一気に読んでしまいました〜。眠たいのにドキドキが止まらなくて寝付けそうにありません!!(>_<) (2018年2月1日 2時) (レス) id: c23d485c4b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:どんぐり | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年9月13日 23時

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