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ところ変わって、ナカハラさんの執務室
現在、例の任務の作戦会議中、というのも
「ナカハラさんとの任務なんて、ちゃちゃっと終わらせてしまいたい」
という強い思いのもと、早速押し掛けたのである
そんなこんなでとりあえず、手持ちの情報をいくつか差し出せば、「ぶっ飛すぞ」と物騒な声と共にそれは受け取られた
「はあ、マフィアって横暴」
溜め息混じりに呟く
首領と云い、ナカハラさんと云い、タイプは違えど皆尽く私を翻弄してくれる
大人しく情報を売り買いさえしてくれれば、こちとら商売あがったりなのにこの野郎
「___手前、これで全部か?」
げっ、気付かれたか
不意に問うてきたナカハラさんに、若干の不整脈レベルの戸惑いを覚える
「首領が買い被ってたとは思えねえ、手前、情報隠してんだろ」
気付かれた、と確信した
首領が何ちゃらとか云う話はよく判んないけど、大方私の詳しい素性でも首領が喋ったのだろう
「情報が少な過ぎだ、これじゃ作戦も何も立てらんねえよ」
ナカハラさんの流し目が刺さって、正当な云い分にもごもごと反論を返す
「私これでも情報屋なんで……これ以上は情報料が要るって云うか……」
と、ここで、私の目がナカハラさんを捉えた
超至近距離で私を覗き込んで、その手を私の方に伸べてくるナカハラさんを
___って、え?
「な、かはら、さ…」
読めない表情、近付く手
頬か、耳か、黒に包まれた手の、行き先が判らなくてどぎまぎする、そんなほんの一瞬の後
「___A」
「な、うわあっ!?」
わしゃわしゃっと遠慮なく私の髪を荒らす温もり
ナカハラさんの手だ
大きくて、男らしくゴツゴツと骨ばった手が私の髪を乱暴に梳いて、たまに耳に触れたりして
「ほら、それが見返りだ、後ややこしいから手前も俺のこと名前で呼びやがれ」
そんな嵐が去ると同時にぽんと渡されたのは彼の、つまり、マフィア五大幹部様の名刺
確かにこれはプレミアもんだけど
それより今は、心臓が煩い
「ちゅ、中也さん?」
「中也で良い」
「中也……の莫迦」
「莫迦は余計だ、ふざけてんのか」
ふざけてるつもりはない
ただ、" 中也 " って名前を、手放しで呼ぶだけじゃ落ち着かないだけだ
それに___
『___A』
慣れ親しんだ筈の自分の名前も、中也に呼ばれると何かむず痒くて
今度はもう少し、もう少しだけ、情報を用意してくる約束をしてしまった
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ライム - めっちゃ最高でした!!中也かっこよすぎてつらいです!こんな最高の作品を生み出してくださってありがとうございます!!!! (2022年12月26日 17時) (レス) @page43 id: e7904a37c4 (このIDを非表示/違反報告)
なかはらあお(プロフ) - はじめまして、作品見させていただきました。お話の構成も内容もとても素晴らしく感動しかありません、どんぐり様のこれからのご活躍心より期待しております。長文失礼致しました。 (2018年4月22日 10時) (レス) id: a71351843d (このIDを非表示/違反報告)
藍音 - 凄く面白かったです!私の名字もナカハラがよかった... (2018年2月7日 0時) (レス) id: a82b5889f9 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - 完結おめでとうございます!!きゅんきゅんしました…! (2018年2月1日 22時) (レス) id: c5a450a737 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - こんな時間に一気に読んでしまいました〜。眠たいのにドキドキが止まらなくて寝付けそうにありません!!(>_<) (2018年2月1日 2時) (レス) id: c23d485c4b (このIDを非表示/違反報告)
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