20 ページ20
·
ああ、首領にはばっちりバレていたようだ
あの時、初めて会った時、俺がAに、見惚れてしまっていたこと
「…………」
だが俺としちゃ、そんなことよりも
ナカハラ君がナカハラ君に見惚れていた、と首領はそうおっしゃった
____つまり、見惚れてたのはどっちだ?
首領はきっと確信犯だろう
二人共ナカハラである俺らに面と向かって、どちらにも取れるような云い方なんて、意地が悪い
首領のその紛らわしい云い回し、それに言葉を詰まらせ顔を赤く染めてるA
なあA、それは期待しちまっても良いってことか
手前も本当に、俺に見惚れてくれてたって
「私はお似合いだと思うけどねえ、 結婚したって苗字も変わらないし、良いじゃないか」
相も変わらず面白がるような首領の声音
明るくあっけらかんな物云いの割に、俺の心も、そして多分Aも、見事に撹乱させられる
首領は全てお見通しなのだろうか
もしそうなら、Aのことは、どこまで見通しているのだろう
「まあともかく、二人共、パーティーお疲れ様だったね」
二人で共に頭を下げ、部屋を後にする間際
偶然だろうか、俺のと交差した首領の視線は、何もかもを見越したような色をしていた
先日のパーティー、あれは云ってみれば『下調べ』のようなもんで
作戦や計画を練りつつ新たな、且つ、正確な情報を仕入れるために、Aと参加したって訳である
お陰で、建物の構造から、見張りの配置や防犯システムまで、役立ちそうな情報が山ほど収穫出来た
「おい、A」
「……へ、あ、ごめん」
よって、またもや俺の執務室にて、作戦会議を開いてるところなのだが
「何ボーッとしてんだよ」
心ここにあらず、と云った様子で、ぽけっと一点を見つめ続けるAの丸い瞳
「いやだって、私と中也が夫婦って、そんなの、そんなの___って、……あ"」
「ふはっ、心の声ダダ漏れだぞ」
慌てて手で口を覆うAを、小さく笑い飛ばす
けど本当は、手前を莫迦にする振りして、ちょっと嬉しかったりする
俺のことで、頭ん中いっぱいにしてくれてんだって
そんでもって云いかけたその先が気になった
『そんなの』、何だよ
恥ずかしいのか、照れくさいのか、嫌なのか
あーくそ、俺も仕事に身が入らねえ、手前が俺と同じ気持ちなら良いのにな
·
678人がお気に入り
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ライム - めっちゃ最高でした!!中也かっこよすぎてつらいです!こんな最高の作品を生み出してくださってありがとうございます!!!! (2022年12月26日 17時) (レス) @page43 id: e7904a37c4 (このIDを非表示/違反報告)
なかはらあお(プロフ) - はじめまして、作品見させていただきました。お話の構成も内容もとても素晴らしく感動しかありません、どんぐり様のこれからのご活躍心より期待しております。長文失礼致しました。 (2018年4月22日 10時) (レス) id: a71351843d (このIDを非表示/違反報告)
藍音 - 凄く面白かったです!私の名字もナカハラがよかった... (2018年2月7日 0時) (レス) id: a82b5889f9 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - 完結おめでとうございます!!きゅんきゅんしました…! (2018年2月1日 22時) (レス) id: c5a450a737 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - こんな時間に一気に読んでしまいました〜。眠たいのにドキドキが止まらなくて寝付けそうにありません!!(>_<) (2018年2月1日 2時) (レス) id: c23d485c4b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ