悲しみと愛に溺れる【ハイキュー!!】短編集

灰羽リエーフ×アムカ※リクエスト ページ26

リエーフside

「リエーフ！！最後ちゃんと片付けして帰れよ！」

「...はいッス」


今日もまた夜久さんにしばかれた、、

夜久さん片付け任せて帰っちまうし


「...だぁぁぁぁぁぁぁ、づがれだぁぁぁ！！！」

広いコートに大の字に転がる

ふと隣のコートを見ると、張りっぱなしのネットと散乱したボール

隣は女バレが使っていて、練習後、いつも一人だけ残っている子がいる

今日は一時間前くらいから壁にもたれたまま動かないでいた


「なぁ、練習しねぇの？」

ネットを挟んで隣に座る

『才能ないから、やめた』

そいつは前を向いたまま話す

『どんだけやっても上達しないし、みんなが当たり前にやってることもできない』

『私が多くの時間をかけてできるようになったことを、みんな何食わぬ顔でやるんだ』

感情を表には出さないが、震える声を押し殺すように唇を噛み締める

もう一度大の字になって天井を眺める

「...本当にそうかな？」

『え？』

「みんな意外と当たり前に見せてるだけかもよ？

ほら見て！俺なんかもうアザだらけ！

ここも！ここも！」

「あの夜久さんですら毎日違うところにアザ作ってるんだぜ？

みんな見えないところでやってるんだって！」

『じゃあなおさら、できる人に努力されたら敵わないじゃん』

「Aだっけ？やってんじゃん、Aも毎日」


ふとAの足元で何かが光る

そこには投げ出されたカッター

Aの白シャツは右袖が赤く染まっていた

「！！」

Aは俺が気づいたことに気づいて、右腕を押さえた

『こんな使えない腕、いっそのこと使えなくなればいいと思って


そしたらバレーしなくて済むじゃん』


「俺は！！、、俺からしたらAも十分才能あるように見えるけどね、


俺は、入部してから、ずっと自主練してるAのこと、尊敬したよ、憧れた」


ネットをくぐってAの方へ行く

Aの正面に周り、肩を掴む

「...だから、こんなことしなくていいって」


目を見て伝えると、ポロポロとAの目から涙が溢れる

『ごめｯｯ、、あれ、とまんない、、』

Aの頬を包み、指で涙を拭う

「ね、泣かないで」

『ん、ありがと、

リエーフ、だっけ？あんたもちゃんと上手くなってるよ』

ふわっと笑ったAに胸が熱くなる

「あ、当たり前だろ！俺は音駒のエースだからな！」

『...期待してるよ、エース』

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