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正直、疲れ果てていた。
連日長時間の撮影にレッスンに収録に取材に。
でもせっかく頂いた仕事は絶対に手を抜かずやり切りたい。
数日前から喉が痛み始めたけど、声はちゃんと出るし大丈夫。
主張を強める倦怠感は気にしない。
咳が出るのは朝の空気が冷たいから。
今日の撮影が終わればスケジュールに余裕ができる。
帰ったら作間のプリンを食べよう。
自分にそう言い聞かせて、明け方家を出た。
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「瑞稀くん、ちょっとだけ起きて水飲もう」
誰かに身体を起こされて、そのまま何かに寄りかかる。
段々とクリアになる視界には優斗がいた。
「瑞稀くん?わかる?」
後ろから聞こえる声によると、どうやら俺は作間に支えられているらしい。
暑いのか寒いのかもよくわからないまま、はいと差し出された水を口に含み飲み込む。
正確には飲み込もうとした。
「わ、大丈夫?!」
水分に触れた喉が燃えるように痛くて口から水が溢れてしまう。
「喉、痛くて飲めない」
「うーん…でも飲まないと脱水になっちゃうから」
優斗の申し訳そうな言葉に、先程感じた痛みを思い出すと次は乾いた咳が飛び出る。
「辛いね…」
作間の大きな掌が背中を上下する。
目の前には立派な眉毛を垂れ下げた優斗がいて。
脱水は怖いしと今度はそっと飲んだけど、激痛に耐えられず少量を数口しか飲めなかった。
「も、無理…」
そう告げ、作間だからいいやと全体重をかけて瞼を閉じた。
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ぶる(プロフ) - 更新楽しみにしています! (2021年1月27日 21時) (レス) id: 6a2962c17e (このIDを非表示/違反報告)
きょもほく - はじめまして!更新頑張ってください!! (2021年1月26日 15時) (レス) id: 5c9a2881b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ドン | 作成日時:2021年1月26日 3時