1人じゃないから複数形 (ページ8)

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side：Y

「瑞稀くーん、飯できたって」

声をかけても反応なし。

おやつタイム頃に帰ってきた瑞稀くんは、さすがに眠いとシャワーを浴びてすぐに自室に行ってしまった。

作間から朝のことは聞いたからそりゃそうだよなと納得し、夕飯ができたから起こしにきたんだけど。

疲れて熟睡しているんだろう、何度呼んでもドアを叩いてもうんともすんとも聞こえない。

「瑞稀くん、入るよ」

部屋に入ってベッドの膨らみをゆする。

「起きて、飯できたよ」

ううん、と声がするも起き上がる気配なし。

サラサラの髪の毛と俺に背を向けていることで顔もよく見えない。

「もー、起きて」

頬を軽く叩いて、驚く。

「んー…」

寝返りを打ってこちらを向いた顔はやけに赤くて、ゆっくり開いた目は蕩けていた。

「ちょ、待ってて体温計持ってくる」

階段を駆け降りてリビングに入ると、ドタドタうっせーなとガリさんに言われたけどそんなの気にしていられない。

「瑞稀、起きた？」

テーブルに料理を並べるもっさんの問いに

「熱出してた。しかも結構高そう」

そう返しながら体温計を手に取る。

「まじか〜でもあの忙しさだったしな」

「最近気温差もやばかったしね。あまりに高かったら病院行ったほうがいいんじゃない？」

「とりあえず冷えピタと、水と、」

バタバタと動き始める3人を残して、今度は階段を駆け上った。