1人じゃないから複数形

epi.4 ページ17

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side：Y





音楽が終わった途端、リハ室に嫌な音が響き渡る。





「ちょっと休憩しよ、作間もちゃんと休んで」



「へいへーい、」




口調こそいつも通りだけど、しゃがんで咳き込んでいる姿は病人そのもの。




「まだ治りきってないんだから座って見てれば？今回の曲ならちょっと休んでもすぐ踊れるでしょ」



「うーん、でもねえ…そだねえ、」




瑞稀くんにそう促されても困ったように笑うだけ。






1週間とちょっと前、喉が痛いとのど飴を大量に舐めていた。



その2日後には鼻水が止まらないと箱ティッシュとともに出勤。



そしてその夜頭が痛いと言い、熱を測ったらしっかり発熱していた。



が、持ち前の強靭な体力で翌日には解熱。シンプルにすごい。




とそんな感じで体調を崩して回復した作間。


だったけど、熱が下がった今もしつこい咳だけが残ってしまっていた。






「なんで治らないんだろ、ちゃんと薬も飲んでるのに」




んんん、と咳払いしながら少し不満そうに呟く。




「あんまり無理しない方がいいんじゃない？」



「毎日夜遅くまで起きてるからでしょ」




はしもっちゃんとガリさんの言葉にもうーん、と煮え切らない返事を返しつつこんこんと背中を丸めて咳き込む。





「この後、まじで休んでたら？」


「いやほんと大丈夫。咳だけだし」




そう答えるとさっさと立ち位置に戻ってしまった。




作間ももう子供じゃないから、自分の体調は自分が一番わかってると思うけど。




とりあえず今日の夜は風呂の順番を譲ってやろうと決めた。

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