たとえ、俺の姿が変わっても。【及川徹】 (ページ10)

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数年後。

「徹」

「ん…？どうかした？」

私たちは同じ会社に勤めている。2人とも入社一年目。徹がまだ平社員なのに対し、優秀な私は課長。皆から慕われ、幸せの日々！なのだが…

「バレたよ、徹と付き合ってんの」

「…え、ほんと？ごめんね、なんか」

「女どもが別れろとかうるさくて。いじめられるの嫌だし、最終手段に出ない？」

「最終手段？ちょ、まさか別れるとか言わないよね？」

徹は天然ボケをかましてきやがる。

「一生、私のそばにいてほしいなー、なんて」

これで気づかないとかアホだからね？
さすがに気づいたらしく、徹が顔を赤らめる。
なにやら、カバンをごそごそし始めた。

「これ…」

差し出してきたのはなにやら書類。

「これって…」

婚姻届…徹、なに持ち歩いてんの。

「ここに、サインしてもらえないでしょうか…？」

もうちょいロマンチックなこと言えないのかな？…まあいいや。

どれだけ憎まれ口を叩こうとも、
どれだけ「嫌い」と言おうとも、

ずっと届いてる。
分かってるよ。
お互いの気持ち。

「しかたないわね…書いてあげるわ。既成事実さえ作ってしまえば、まわりもなにも言わないしね」

まわりの意地悪女？

…そんなの、口実に決まってんじゃん。
いじめにやられるほど私弱くないもん。

徹に結婚を迫る口実。向こうも、そろそろ結婚考えてたみたいだし、ちょうどいいかなって。

「ちゃんと好きだから。ずーっと、私のそばにいてよね、徹」

徹が、そっと私を抱きしめてくれた。