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「及川…」

嫌な奴に見られた。思わず舌打ちしてリフティングを再開。

「美梨ちゃん、何気にうまいよね…」

私が落とすわけないだろ、馬鹿め。

「ねえ、美梨ちゃん…いや、なんでもない」

このチャラ男は色々と考えが読みにくい。まあ、深刻な悩みを抱えている様子はないので、それは、まあよかったのだが。

「美梨ちゃん…俺のことどう思ってる?」

え?どうって言われても…

「チャラくてイケメンなクラスメイト」

「褒めてんの?貶してんの?どっち?」

さあ、どっちだろうね。貶してるんじゃないかな。私は自分かわいいと思っているから、イケメンになびいたりしない。ていうか、男は性格で選ぶ派だ。

「及川って、私に気があったりする?」

冗談半分で聞いてみた。本当にそうって可能性もゼロじゃないか。まあ、私美女だし。…これって私かなり性格悪いよな…まあ、無自覚よりはマシだろう。

「そうだよ?俺、美梨ちゃんが好き」

マジかよ、めんどくさ。

「どこが好きなの?顔だよね?顔でしょ、顔だけで選んでるんでしょ、私の噂知らないの?全部事実だよ、私なんか選んだら後で後悔するよ。おまえ、女見る目ないわ、マジで」

思ったことを全て口にする。

「酷いっ!」

知るか。

「俺、本気だよ…?よかったら付き合ってもらえないかな…?」

ふーん、そーですか?

「リフティング対決で私に勝ったら、ちょこっとだけ考えといてやらんこともない」

めちゃくちゃ私に有利な条件。やっぱり私、性格悪いな…少し悲しい。

「いいよー、落とさなきゃいいんでしょ?やろうよ!」

余裕ぶった顔で言われてムカついたので、本気出した。30分後に私が勝った。

「じゃーね、及川」








皇美梨ちゃん。俺の好きな子。可愛くて、小悪魔で、数々の欠点と絶望的な性格の美少女クラスメイト。向こうは俺なんか眼中にないみたいだけど。フラれたけど、いい感じなんじゃない、地味に?よし、アプローチ続けよう!



「美梨ちゃん、俺と付き合って☆」

「それ、23回目、もう飽きた」

相変わらず冷たい!

「じゃあ、デートだけでも」

「それは40回目」

3ヶ月たってもデートすらしてもらえない。諦めた方がいいのかな…

「もうちょい口説き文句考えて来い、流石に飽きるわ」

考えて来い、か…

「君の美しさの虜になってしまいました、俺を恋人にしていただけませんか?」

即興にしては上出来だと思う。

「キザったらしい、却下」

「好きです!」

「ストレートすぎ」

酷い。

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作者名:ΨΨ | 作成日時:2018年6月8日 23時

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