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第1265話 ページ49
遙side
「俺はもうこの大会で引退する」
遙「えっ？」
思ってもいなかった答えに素っ頓狂な声を思わずあげてしまう
引退するって……
選手を、だよな…………
「限界を感じているとか、そう言うわけじゃない。ただ…………」
そう言って言葉を濁して俯くA
「今回の大会を通して思ったんだ。競泳一筋で打ち込んでいる人に、役者との二足の草鞋の人間が存在するのは失礼なんだ」
遙「そんな………」
そんなこと、ない。そうは言い切れなかった
世の中には天才がいくらでもいるだろうが、二つも才のある人間なんてそうそういない
そのような人間が同じ分野にいたら、最初は嫉妬するかもしれない。しかしそれは、いずれ絶望の対象になる
Aはそれをよく理解している
だから、ここで自分が身を引くことを選んだのだろう
遙「俺は、それはもったいないと思う」
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作者名：水音 | 作成日時：2021年8月21日 22時
