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第1234話 ページ18
遙side
テラスに出ると、夜風が耳をくすぐる
東京ともボストンとも違う空気が鼻をつく
俺は今、泳ぐためにここに来ている
競泳選手として、ここに来ているから
Aを意識する1人の男として来てはいけないわけで
遙「はぁ…………」
柄にも無くため息をついてしまう
静寂に耳が慣れると、遠くから聞こえる微かな車のエンジン音に加えて何かの声が聞こえて来た
談笑するような、多分日本語
きっと日本人選手だろう
どうせ確認したところで、話しかけないくせに
それでもAなんじゃないかって、確認してしまう
今、Aと話したら俺の気持ちは昇華できるだろうか
……いや、それはないか
自分で自分の感情に冷笑しつつも、声のする方へ目をやる
顔は見えないけど、おそらく男女2人
こんな遅くに親しげに話すなんて、余裕なんだな
…………俺の言えたことじゃないか
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作者名：水音 | 作成日時：2021年8月21日 22時
