第1016話 ページ50
河井side
今日は久しぶりにAと共演できる
ほんま、楽しみやなぁ
自分でも良く分かるほど、浮き足立っている
早く会いたい
そう思い、足早に歩いていく
角を曲がろうとすると、あるものに視線を奪われた
廊下の奥から光が近づいて来ている
いや、光やない
光を纏ったような人
一瞬、Aかと思った
俺にはAが光って見えるから
でも彼はそれ以上に輝いていた
この前会った時は“黒光り”という言葉がぴったりやったのに
今は白く……いや、透き通っている
その変貌ぶりが恐ろしい
背筋の毛が逆立っていくのを感じる
例えようのない恐怖を感じていると、いつのまにか横にいた結城くん
結城「……相応の覚悟と責任を持って大切にしてくださいね」
一瞬、何を言われたのか分からなかった
Aのことだと気づくのに数秒もかからなかった
なのに、急いで振り返ると彼はもういなかった
結城くんは気付いてたんやろうか
………いや、最初に焚きつけたのは結城くんやから、彼の中に疑惑があるだけかもしれんし
そもそも、俺の嫉妬と焦燥感が見せた幻かも知れん
そんなことは無いんやろうけど
“覚悟と責任”か……
そんなもん、あるに決まっとるやろ
さっきまで結城くんがいた所を睨みつけ、俺は足を早めた
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作者名：水音 | 作成日時：2020年8月7日 8時
