第971話 ページ5
Aside
蘭の思いがけない言葉に思わず手が止まってしまう
真琴「…………あっ、A!ぶつか………………あーあ…………」
横で真琴が叫んだのも、うまく聞こえない
何を動揺しているんだ。蘭は、意図を持って聞いてきたわけじゃないんだから
「久しぶりに蘭と蓮に会いたかったんだよ」
そう言って蘭を見て笑う
大丈夫。おかしなところなんかない
蘭「私もAちゃんに会いたかった!」
満面の笑みで抱きついてくる蘭
心の中でそっと胸を撫で下ろす
蘭「でもさ、私なら絶対ハルちゃんの家行くなあ」
「え?どうして?」
蘭「ハルちゃん一人暮らしだから、広々使えるし、ゲームもあるし。…………あ、Aちゃんの好きなイルカもいっぱいあるのに。どうして?」
質問を、質問で返された
治りかけていた心臓の鼓動が、再び早まっていく
血が流れる音が耳の奥で轟々と獣の咆哮の様にする
落ち着け。蘭が抱きついてるんだから
鼓動がこんなに早くなっていることを悟られてはいけない
「……ちょっとトイレ行ってくるね」
そう言って蘭を膝から下ろし、ドアを開けた
大丈夫、ちゃんといつもの俺だったはず
蘭「…………ハルちゃんと喧嘩したのかな?」
蓮「ねーー…………」
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作者名:水音 | 作成日時:2020年8月7日 8時