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第1005話 ページ39
大志side
本当の僕を見てくれる人は誰もいなかった
幼少期からずっと芸能界にいたせいだろうか。他人の目には、僕を見るときに“子役の結城大志”というフィルターがかかる
両親も例外ではなかった
最初から父さんは僕の芸能活動にいい反応はしていなかった
それでも良かった
元々僕に興味が無い父さんに好かれたところで、何の意味もない
家族の体はあったけど、家族の役割はそこにはとっくになかった
芸能活動をして、母さんと家に帰って母さんだけと話す。僕にとってはそれが普通だった
でも、世間から見たら普通なんかじゃなかった
僕が中学に上がると、父さんは殆ど家に帰らなくなった
薄々感づいていたが、やはり父さんには女がいた
もちろん今更動揺することじゃ無い。母さんもきっとそうだろう
そう思っていたのに
母さんは違った
心の底では愛していたのだろう。日を追うごとに母さんはどんどん壊れていった
それでも離婚はしなかった
母さんは離婚したくないだろう。父さんを愛しているのだから
でも、それでは父さんにメリットがない
それがずっと疑問だった
でも、ある日気付いてしまった
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作者名：水音 | 作成日時：2020年8月7日 8時
