第1002話 ページ36
Aside
「……？！」
突然にぃに顔を掴まれる
俺よりずっと強い力
突然のことで頭が混乱しているが、これだけは分かる
“抵抗したら殺される”
本能が叫んでいる
俺の瞳の奥を覗き込むように真っ直ぐ見つめてくるにぃ
大志「俺さ、Aに悲しむ顔なんてさせたくないんだよ。そう思ってたけど….…今の状況、Aは嫌だよね？」
「……………」
大志「……だからね、俺考えたんだ。どんなことをしてもAは悲しむ……。だったら、俺の気持ちを、俺のしたいことを優先させようって」
それって？
身体的に傷つけられることはないはず
下手したら洗脳……いや、下手しなくても精神に何かをきたすだろう
大志「俺ね、Aのこと大好きなの。親よりも何よりもずっと。きっと、このままAの顔を押さえていればAは俺しか見えないんだろうね……」
ようやくにぃの本性が見えたような気がした
病的なまでに俺を求めている
大志「ああ………いいね。Aの目には俺しか映ってないのがよく見える…………すごい綺麗だ……」
ゆっくりとそのままベッドへ押し倒される
にぃが俺を犯すことはない
それぐらいはわかる
でも、だからこそ
予測不能な恐怖が襲ってくる
大志「Aのこの体温も、匂いも全部これからは俺だけのもの」
そっと囁き、俺の首筋に顔を埋める
抵抗したいのに抵抗できない
にぃの恐ろしさを本能で感じてしまっているから
大志「ずっと一緒にいて。誰にも邪魔させないから」
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作者名：水音 | 作成日時：2020年8月7日 8時
