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第997話 ページ31
Aside
そう言って部屋から出て行くにぃ
背筋がまた凍ったような気がした
ここは、俺が前に入ろうとしたところだよね？
…………ってことは、にぃはずっと前から用意をしてた……
久々に会った時からずっと
にぃは俺を騙していたんだ……
あのとき笑い合ってたことも
楽しかったことも
全部、全部嘘だった
頭の中に流れてくる今と同じ過去の情景
最初から向き合うつもりなんてなかった両親と同じだ
なんで
どうして、こんな苦しい思いを繰り返さなくちゃいけないの
思い出したくなくても勝手に駆け巡る昔の映像
両親のことを思い出すだけでも辛いのに、昔のにぃの笑顔まで思い出してしまって
さらに俺を苦しめる
誰にも向けようがない怒りがふつふつ込み上げ、思わず食器を床に投げ捨てる
にぃが持ってきた食べ物だって、何が入ってるかわかったもんじゃない
ほんのさっきまであんなに信用してたのに
こうも変わってしまうなんて
にぃに反抗する気も起きず、俺は毛布にくるまった
何も考えないでいよう
それがきっと1番だから
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作者名：水音 | 作成日時：2020年8月7日 8時
