第992話 ページ26
Aside
綺麗な、長い夢を見ていたような気がする
でも内容は全然覚えていなくて
もしかしたらもっと短い夢だったのかもしれない
ただ、さっきよりは頭がすっきりしている
さっきのにぃは夢だったのか？
疲れが溜まっていたから、あんな夢を見たのだろう
気づかないうちにこのベッドで寝ていたのも、疲れていて覚えていないんだ
そうなんでしょう？
いつの間にか着替えていた見覚えのない服も、白で統一されたこの部屋も
なぜか内鍵のドアも
鮮明に覚えているのはコーヒーを飲んだことだけ
着替えたことも、ベッドに入ったことも何も覚えていない
何も覚えていないことに気づき、身体中に悪寒が走る
俺、この部屋に来たことない
知る限りでは、にぃの家に内鍵の部屋なんてなかった
じゃあ、ここは…………？
大志「起きた？」
「ぁ…………」
突然ドアが開き、にぃが現れる
何故だか、いつもより大きく見えるにぃ
「えっと…………ごめんね、俺疲れてたからあんまり覚えてないんだけど…………途中で寝ちゃったっけ？」
俺が話しているのは、こうであって欲しいという願望
心の底ではわかってる
気づかないふりしてるだけだ
この得体の知れない恐怖に
大志「ううん。俺が眠らせたんだよ？」
背中を嫌な汗が伝う
心臓の鼓動が脳を揺らす
大志「A、よく俺に相談事するでしょ？だから、ここにずっといれば悩みに当たることなんて無いんだよ」
「はは…………」
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作者名：水音 | 作成日時：2020年8月7日 8時
