第989話 ページ23
Aside
旭「AはAが思うほど最低じゃない。…………もちろん、100%善人ってわけでもねえけど。」
「…………うん」
旭は嘘をつくのが下手で、とても正直だから
だから、俺も正直でいられる
「……もしさ、人間が利己主義であることが仕方ないのならさ」
旭「うん？」
このことを言って良いのか迷ってしまう
旭を傷つける結果になるかもしれないのだから
「真琴が、利己主義を貫き通してもいいの？」
さっきの様な静寂が訪れる
微かに、旭の喉仏が動いた様な気がした
旭「…………それで2人が幸せになるんだったら、いいんじゃねぇの？」
「………………」
さっきまで俺を見据えていた瞳が逸らされる
きっと本心ではないんだろう
「………………旭は？」
旭「…………」
「旭の利己主義は、どうするの？」
旭「…………まあ、諦めるしかないな」
「そっか…………」
旭が小さく唇を噛むのが見えた気がした
気のせいなんかじゃない
旭も、そういうことなのだろう
旭「…………俺、もう行くから」
「うん……水、ありがとね」
旭「………………おう」
“変らないことがあるとすれば、みんな変わってくってことじゃないかな”
って
きっと、その通りだ
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作者名：水音 | 作成日時：2020年8月7日 8時
