第969話 ページ3
Aside
目を覚ますともう真琴はいなかった
せめて、朝食のお手伝いぐらいしないと
眠い目を擦りながら階段を降りていく
蓮「Aくん？！」
蘭「なんでいるの？！」
そりゃあ、いきなり寝起きすぐで寝癖ボーボーの俺が現れたら驚くよね
「夜、泊まったんだよー。蘭、蓮、久しぶり」
そう言って微笑むと、勢いよく抱きついてくる2人
一瞬のことで、バランスを崩しそうになった
真琴「こら、蓮、蘭。Aが怪我しちゃうかもしれないだろ」
眉を下げながら、俺から2人を引き剥がす真琴
2人もしょぼんとして、真琴と同じ顔をしている
真琴「…………おはよう、A」
「うん…………おはよう」
気まずい空気が流れる
結局昨日は中途半端のまま、寝てしまったから
真琴と目を合わすのがしんどくなってしまい、少し目を伏せる
真琴「…………朝ごはん、できてるよ。行こう」
俺の前に真琴の手が差し出される
握っても、いいのかな
蘭「Aちゃん、行かないのー？」
蓮「僕、Aくんと朝ごはん食べたい……」
ああ、そうか
真琴は俺のことを思って、手を出してくれてるんだから
何も恐れることはない
真琴の手を握ると、強く握り返してきた
嫌なこと、不安なこと、心配なこと…………色々あるけど四六時中悩んでちゃいけない
逃げるわけではない。でも、楽しいときはそれを目一杯楽しもう
そう考えると、少しだけ楽になったような気がした
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作者名：水音 | 作成日時：2020年8月7日 8時
