第1721話 ページ8
Aside
実家の駐車場に車を停め、荷物を運び出す賢志郎さん
出発する時もそうだったが、是が非でも私に重いものを持たせたくないらしい
えり「寒いやろ。はよ中入り」
「わっ！！……あ、えりさんお久しぶりです」
いつの間にか背後に立っていたえりさん
嘘でしょ、全く気配がなかった
えり「エンジンが止まる音がしたからね。着いたの、わかったわ。……賢志郎、Aちゃんに荷物持たせたらあかんで。あんたが運べや」
賢志郎「最初からそのつもりやって」
目の前で軽い喧嘩を始める2人
そうだった。えりさんと相対するときの賢志郎さん、見慣れなくて面白いんだった
えり「Aちゃん、寒いから中入り。あとは賢志郎に任せてええから」
「そう……ですね。うん、そうしましょうか」
後ろで賢志郎さんが何かぶつぶつ言っている気もするが、気にしない気にしない
えりさんの後に続いて、年季の入った趣のある玄関を潜ると、ヒーターで温まった空気に包まれた
母「Aちゃん、久しぶりやねぇ」
「ご無沙汰です。お元気そうで、何よりです」
母「私の体調なんてどうだってええんよ。それより、Aちゃんは大丈夫？長旅で疲れへんかった？」
「ええ、特には」
えりさんとお義母さんの2人に挟まれるようにしてリビングへ向かう
話を聞いている限り、相当私の体のことを心配してくれているようだ
そりゃあ三つ子だもんな。当然か
リビングに入ると、この前と同じように静かに新聞を読んでいるお義父さん
挨拶を交わし、えりさんとお義母さんに進められるがままに炬燵に入った
えり「今、何ヶ月やったっけ？」
「5ヶ月と少しです。……には見えないですよね、この大きさ」
母「そうやねぇ。双子のお母さんとは何度か会ったことあるけど、三つ子はおらへんね」
えり「胎動とかもうあるん？」
「ありますよ。ただ、賢志郎さんが触るとやめちゃうんです」
母「まだこの子らに父親って認められてへんのよ笑」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：水音 | 作成日時：2024年1月19日 21時
