第1744話 ページ31
Aside
三月も下旬。桜が満開を迎え、もうすぐ散り始めようとしている
刹那的だから美しいんだろう、という日本人特有の感覚はどうしてなかなか海外の人には理解されないのか……
「ここの桜は白旗桜なんですね」
看護師「ええ、珍しいですよね。………それにしても、思いっきりいきましたね」
「そうですか？懐かしさと快適感でいっぱいですよ。良いですよ、やっぱ」
看護師「いやいや、Aさんだから似合うんですよ。……でも、良いですね」
「でしょう？」
少し肌寒い首を触りながら、窓の外の桜を眺める
ここは3階なので、散っていく桜を少し上から愛でることができる
今日は、引越し当日だ
家具の配置とかは、入院中でも賢志郎さんと一緒に図面と睨めっこしながら決めた
入院する前にすでにある程度内観は出来上がっていた。だから想像することはできる
でも実際に完成して住むことのできる状態とは、全然違うんだろうな
明日の夕方に賢志郎さんはきてくれるようだ
いっぱい写真、撮ってきてくれるといいな
看護師「それ、旦那さんはご存知なんですか？」
「いえ、誰にも言ってないので。絶対に知らないと思います」
看護師「じゃあ驚く顔、楽しみですね」
「ええ、ものすっごく」
ほんと、楽しみだなぁ
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作者名：水音 | 作成日時：2024年1月19日 21時
