第1717話 ページ4
Aside
「結構強引に話を進めちゃったけど、よかった……？」
あのあとすぐに事務所に行き、具体的な仕事内容、事務所との雇用形態のやりとりなどをしてやっと帰ってきた
明後日から、とりあえず週に4日優璃ちゃんはやって来る
冬の日の太陽はもうとっくに沈んでいる時間。照明もつけずにソファに倒れ込んだ
賢志郎「今までやってきたことは随分反省しとるようやし。ミーハーみたいに俺らのことを騒がへんのも、ええんちゃう？」
「本当に？」
賢志郎「嫌やったら反対しとるよ。……それに、Aは優璃ちゃんに………」
言葉を探しているのか、首を捻る賢志郎さん
「同情、とは違うけど。色々と思いを寄せちゃうよね」
生まれた時から両親がおらず、その後も新たな家族に巡り会うことはなかった
彼女を見ていると、まるで……
「違う世界線の私のように見えるんだよ。自分は働かずに子供を働かせてお金を得る両親だしね。……産まれた瞬間、もしくはしばらくしてからでも、私を手放す選択肢を思いつくような人たちだから」
それに、思い知ってしまった
私は毎年、養護施設や関連施設を支援する団体に高額の寄付をしている
その団体は清廉潔白で、使用用途もちゃんと毎年報告してくれる
でも私ができたのは、養護施設にいるあいだだけの支援だった
優璃ちゃんのような子に卒業してからの支援や手当まで、気を回すことができなかった
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作者名：水音 | 作成日時：2024年1月19日 21時
