第1743話 ページ30
賢志郎side
この子達の命と比べたら。そう言ったときのAの表情は、今まで見た中で1番凛としていた
実際に見えなくても、触れなくても。Aはもう母親なんやな
「賢志郎さんは？」
賢志郎「え？」
「どう思う？……まあ、何を言おうが私の体に起こることなので私が決めるんだけど」
賢志郎「Aが……Aが最善だと思う方法でええよ」
「うん。わかった」
大きくなったお腹に手を添えてそう答えるA
俺が瞬きをした瞬間瞬間、どんどん浄げに、気丈になっていくように見える
それに比べたら、俺はどうなんやろう
「まあ、レーザー治療の大変さよりも……」
近江「コルセットの方が大変なんですよねぇ」
賢志郎「コルセット？」
「前に言わなかったっけ？出産後そのままにしておくと、皮膚がなかなか戻らずに弛んだままになっちゃうんだよ。だからコルセットで体を締めるの」
近江「普通に出産されたらそこまででもないんですが、帝王切開となると生傷がある状態なので……深めの傷がついたお腹をキツくギューっと締め付けられている感じになります」
想像してみて、下腹部が痛くなる
傷を常に圧迫されてるってことなん？
近江「今の所幸い、肉割れも無いので……退院直後からコルセットを装着すれば、皮膚はほとんど元通りになります」
賢志郎「え、直後って……傷も塞がってないんじゃ………」
「さすがに傷は塞がってから退院するって笑。だから、大きめのカサブタを、こう……グリグリっと……みたいな感じですよね？」
近江「ええ、そんな感じです」
わかりやすく想像してしまい、思わずお腹を押さえてまう
そしてそれを見て爆笑するA
安心、してええのかな……？
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作者名：水音 | 作成日時：2024年1月19日 21時
