第1738話 ページ25
Aside
10畳……より少し広いぐらいの部屋に、荷物がいっぱい入ったボストンバッグを置く
賢志郎「服とか片付けるで」
「あ、私がやる。自分でやらないと、どこにあるかわからなくなっちゃうから」
賢志郎「あ、そっか」
完全個室で、テレビ、冷蔵庫、ソファ、シャワー、その他諸々……。産科に近いこの部屋の近くには、誰も入院していない
つまり、医療関係者の人以外と顔を合わすことはほぼない。完全にプライバシーが守られている
賢志郎「今日からここで2ヶ月半……長いなぁ」
「ね。むしろここまで長いと、相部屋の方が楽しそうな気もしてきたけど」
賢志郎「やっぱり寂しい？」
「それは賢志郎さんがじゃない？」
賢志郎「“が”？“も”やなくて？」
「私はこの子達と24時間一緒だからね」
そう言うと、少し拗ねたような顔をする
面白そうだし、賢志郎さんの望んでいる言葉は言わずにいてやろう
賢志郎「男も妊娠する可能性のある世界ならよかったのに……」
「それ悪阻真っ只中の私を見ても言えるか？……でも確かに、そうなると性犯罪は減りそうだよね。自分もリスク負うんだから」
賢志郎「せやね。……ってそんな話はどうでもええんよ。明日、仕事が終わったら来るわ」
「分かった。……あ、明日はももと真琴が来てくれる予定なんだ」
賢志郎「ほんまええ友達に恵まれとるなぁ」
楽しそうに目を細める。この大好きな笑顔も、しばらくは見る機会が減っちゃうのか
賢志郎「このあとはラジオの収録があるから、もうそろそろ行くな」
「うん……じゃあね」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：水音 | 作成日時：2024年1月19日 21時
